あの日の心には
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「おばあちゃん、この本どこに置いたらいい?」

「それは、こっちね。」

おばあちゃんの名前はミラノという
80歳なったばかりらしい
曲がってしまった腰では
重たいものを運ぶことはできない
棚の上の本を整理するのはあたしの役目だ

胸のあたりまで伸びていた髪を
肩くらいまで切りそろえると
すっきりとした気持ちになった

孫がやってきた、と周りに伝えてくれ
おばあちゃんと呼んでほしいと
言われそうよんでいる

この島に滞在して1週間
目立つこともなく
ひっそりと暮らしていた

おばあちゃんは身の上を聞いてくることもない
本当の孫のように接してくれた

「アリアちゃん、今日の店番はお願いね。
夕方には帰ってくるわ。」

「はい!気をつけてね。」

おばあちゃんは度々病院へと診察に行く
その間の店番は自分の役目だ

店の掃除をしていると店の扉が開く

「ばあさん、いるかい?」

その姿に目を見開いた
会いたくてしかたがなかった人

「マルコさん・・・?」

「アリア、か?」

お互いに状況が飲み込めない、といったふうに
時が止まった気がした

「マルコさん!」

気がついた時には駆け寄って
首に手を回して抱きついていた
優しく回された手は抱き返してくれる

「アリア、お前なんでここに?」

「逃げたんです。ここのおばあちゃんに
お世話になってます。」

「夢、かと思ったよい・・・」

顔を上げると顔が近づいてきて
目をつぶると瞼に、頬にキスをされる
下へとおりてきたキスは唇へたどり着く
啄むようなキスから徐々に息が上がるような
荒々しいキスへと変わる

どれくらいキスをしていたのだろうか
離れた頃には唇が腫れたような気がした

そのまま抱きしめられる

「お前に会いにドレスローザへ
行く途中だったんだよい。」

「ほんと、に・・・?」

「嘘は言わねェよい。
時間が空いちまって悪かったねい。
でも、ここに立ち寄ってよかったよい。」

マルコさんの匂いに包まれて
気持ちがふわふわとする

番がいても発情期以外は
触れ合っても大丈夫なようでほっとしている

「マルコさん、立ち話じゃなくて
奥に椅子があるので座ってください。」

「あァ、そうだねい。」

そう言って入口の札をマルコさんは
【CLOSE】に変えて鍵を閉める

お茶を出して小さなテーブルに置く
椅子は1人用なのに
気がつけばマルコさんの膝に座らされていた

先程もキスをしたばかりなのに
空いた時間を埋めるようにキスを繰り返す
キスの合間に喋る、といった感じだ

ここのおばあちゃんとマルコさんは
知り合いらしく、
昔から本はここで買っているそうだった

キス以上の触れ合いはしていないが
その行為に夢中になっていた

「こら!!糞ガキ!
私の孫になにしてんだい!」

入口から聞こえてきた声にびくりとして
マルコさんの膝上から飛び降りた

いつの間にか日が暮れていた
マルコさんは気がついていたのか
ニヤリとして振り返る

「久しぶりだねい。ばあちゃん。」

「アリアちゃんに手を出すなんて
年が離れすぎでしょう!
節操がないね!お前は!」

「おばあちゃん、違うの・・・!」

そこで白ひげ海賊団に
お世話になっていたという話をすると
怒っていたおばあちゃんはほっとしていた

「アリアちゃんが
無理矢理襲われてたのかと
思って吃驚したわ・・・。
いくらあんたでもそれは許さいからね。」

「女を無理矢理襲うようなことは
親父の名にかけてしねェよい。」

「それにしても、年は離れてるわね。
本当にコイツでいいのかい?」

マルコさんの頭をペチンと叩くが
マルコさんは気にした様子もなく笑っていた

「余計なお世話だよい。
今からアリアを借りていくよい。」

「えっ、マルコさん!?」

「あァ、積もる話もおるでしょう。
アリアちゃん、行ってきなさいな。」

「決まりだねい!」

有無も言わさずにだき抱えられたまま
お店の外へと連れ出されてしまった

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