揺れる日々
::


「若様!」

取引相手と話していると
慌てた様子のベビー5が
部屋へと駆け込んでくる

「どうした?」

「今連絡があって
アリアがいなくなったって!」

「なんだと・・・?警備は何をしていた。」

「若様の命令でコロシアムに
行くと言っていたそうなの。」

「フッフッフッ、
最近大人しいから油断していたか。
ドレスローザから出航した船を調べろ。
そうだなァ・・・。小さな客船だ。」

「わかったわ!」

ベビー5はすぐに調べに部屋を出ていくと
商談相手が心配そうにしている

「何かあったのか?」

「あァ、大したことじゃねェ。
飼い猫が逃げ出しちまったらしい。
まぁ、見つけるがな。
さァ、話の続きをしよう。」


アリア、逃がしはしないぞ
すぐに見つけ出してやる

◇◇◇◇◇

小さいけれど賑わっている島で
降りることが出来た

すぐに洋服店で
できるだけ地味な服を買い着替える
着ていた服は捨てておいてほしいと置いてきた

広場のベンチに座りひとまず
ドレスローザから出れたことに安堵する

これからどうしようかと
考えていると少し離れたところで
人だかりができており真ん中くらいで
怒鳴り声がきこえた

「おい、ババア!
ぶつかってきといて
謝罪もなしかよ!」

「申し訳ございません・・・」

あまりに長いので
人をかき分け見ると
地面に座り込む老婆と
柄の悪い男がいた

「おいおい、謝罪ってのはな。
金を寄越せって言ってんだよ。」

「まただ。
あいつ、金を巻き上げたいだけだ。」

「最近、島についたやつだろ。
海軍がいねェからって・・・」

ヒソヒソと話しはするが
誰一人止めようとする気配がない

金がないとわかると
老婆の胸ぐらを掴み手を振りかざす

とっさに身体が動いていた
振り下ろす前に男の手をつかむ

「やめてください。」

「あ?」

「お年寄りに手を上げるのは卑怯よ。」

「なんだァ?このババアの代わりに
金を払うっていうのか?」

振り返った男はあたしの姿を
見ると口角をあげた

「お前が、身体で払ってもいいんだぜ?」

そして今度はあたしの胸ぐらを掴み
自分へと近づける
男からは酒の臭いがした

空いている手で胸を触る

「いいもん持ってんじゃねェか」

下品な笑い声は耳についた
男の腕に触れ力を込めると
ボキッと音があたりに響く

胸を掴んでいた手は力なく垂れ下がり
胸ぐらを掴んでいた手を離そうとしたが
そうはさせないすぐに手を掴む

「いってェ!!くそ、何しやがった?!」

「次はこっちの手がいい?」

「くそっ、離せ!」

「早く、この島から出ていきなさい。」

みしりみしりとゆっくりと
力を込めていけば痛くなってきたのか
男のひたいには汗が浮かぶ

「わかった!わかったから、離してくれよォ!」

先程まで怒鳴り散らしていた男とは思えないくらい
顔を歪ませ涙を浮かべている

ゆっくりと離してやるとすぐに
駆け出していってしまったが懲りたはずだ

野次馬から歓声が上がり
「やるじゃねェか!」と声をかけられる
笑顔で対応しながらまだ地面に座っままの
老婆に声をかけた

「おばあちゃん、大丈夫?
送っていくわ。家はどこなの?」

「あ、ありがとう・・・。」

涙ぐむ老婆は家につくまで
感謝の言葉をずっと言っていた

老婆に案内された場所は
古びた本屋だった

「ここが、私の家だ。
お嬢ちゃん、お礼にご馳走するから
上がっておゆき!」

断ろうとしたがグイグイと手を引かれ
ごちそうになることにした

お店自体は古いがよく手入れされており
店内は綺麗だ

「おばあちゃんがここのお店をしているの?」

「そうさ。旦那が亡くなってから
5年ほど経つが1人で気楽にしているよ。」

出された食事は素朴だがとても美味しい
この島の郷土料理らしい

「あんた、今日島についたのかい?」

「そうなの。
新参者のくせに出しゃばっちゃいました。」

「泊まる場所がないならここにいな!
1人だから部屋は余ってるし
仕事がないならここで住み込みで働けばいい!」

断る暇もないくらいに喋る老婆に押し切られ
しばらくは住み込みで働くことにした

偶然ではあったが身を隠す
場所を得ることができほっとしていた

prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -