小さな1歩
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部屋に無言で入るとドフィは笑顔で迎える

「アリア、どうした?
何か不満があるのか?」

わかっているくせに白々しい
今日は口にせずにはいられなかった

「あんなの、ひどい。
見世物みたいにするなんて。」

「あれは、前王の孫娘で、
この国じゃ、あれは悪だ。
憎き王の血縁者が傷つくだけで
国民は歓喜する。皆が望んでることを
やってやってるだけだ。」

「あの子に、罪はないじゃない」

「フッフッフッ、そんなもの関係ねェ。
あの娘が強ければ生き残る。
弱ければ死ぬ。それだけだ。
お前が気にすることじゃねェだろ。」

「・・・それでも、やめてほしい。」

「なァ・・・、アリア」

ドフィの猫なで声にびくりとする
この声を出す時は少し苛立っている時だ

「お前はこの国のことは気にしなくていい。
お前が気にしなきゃいけねェのは
おれだけだ。そうだよなァ?」

伸びてきた手は頭にあるのに
まるで首を絞められてしまうのではないかと
思うほどに恐ろしかった
そして小さく頷く

「用は済んだ。帰るぞ。」

抱きかかえられコロシアムを後にする

◇◇◇◇◇

コロシアムでの出来事から数日
朝から城内は慌ただしかった

「アリア、3日ほど出る。
いい子にしとけよ。」

「わかった。」

あたしを連れて行けないほどの何かがあったのか
幹部を連れて行くらしい

項と唇にキスをして出ていくドフィを見送り
小さく息を吐いた

「今しかない。」

扉の前には兵士がいるので
窓から外へと出ることにした
最上階にあるこの部屋を窓から出るのは
容易なことではないが
ドフィが3日も出ていくことなんてなかなかない

怖がってはダメだ

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