気が付かない
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エースは見張りの仕事はしない
サボって昼寝してしまうから
その仕事は割り当てられないのだ

今日のエースは交代までちゃんと起きていたし
楽しそうに見張りをしていた

年上なのに無邪気に笑うエースを見ていると
心がポカポカとしてくる

(この気持ち、なんか懐かしい)

そう思った自分に首を傾げる
エースが初恋のはずなのに
懐かしいとは何なのか

その疑問はエースとのおしゃべりの間に
すぐに忘れてしまった

◇◇◇◇◇

「見張りなんて退屈だと思ってたけど
アリアと一緒なら喋れるし楽しいな!」

「うん!」

見張り台から降りると
マルコが眉間に皺を寄せ
腕を組み仁王立ちしていた

「エース!お前は溜まった報告書の
提出をしろって言ってあったろい!」

「あ!忘れてた!悪ぃ!」

ヘラヘラするエースに鉄拳を食らわし
書類を提出するまで飯抜きだ、という
エースには死刑宣告ともとれる言葉を言い渡す

「無理だ!腹減った!」

「なら、さっさっと書類を提出しろよい。」

縋り付くエースを引き剥がし
黙っていたあたしをマルコが見た

「アリアは飯にいってこいよい。」

「アリア〜、手伝ってくれ!!」

今度はあたしに縋り付いてくるエースを
さっきりよりも強い力で引き剥がし
床に投げ捨てた

「マルコ、あたしも手伝う。
隊長の手伝いをするのは部下の役目でしょ?」

「アリア!!!」

エースに尻尾があったら確実に
ブンブンと振り回していそうな勢いだ
起き上がったエースは思い切り抱きついてくる

その様子をマルコは苦々しげに見ていた

「・・・提出はアリアがしにこいよい。
さっさっと終わらせてこいよい。」

「おう!!アリア行くぞ!」

「うん」

手を引かれ駆け出していく
周りはいつものことなので
「転けるなよー」と笑っていた

残されたマルコが
鋭い目でこちらを見ていたことにも
気が付かなかった

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