141
::
膝にアリアが頭を乗せて
寝息を立てている
衝動のまま抱いたことで疲れたらしい
自ら帰ってくるとは思わなかった
必ず見つけ出して連れ戻す気ではいたが
この展開は予想していなかったが嬉しい誤算だった
逃げようとすれば首輪をつけ
鎖で繋いでおくつもりだった
足を切断してもいいと思っていた
アリアがいなくなったと知った時の焦燥感は
もう味わいたくない
(それならいっそここで殺してしまうか・・・?)
アリアの命など簡単に奪えるだろう
首にそっと触れると
アリアの目がゆっくりと開き
とろんとした目をして眠気の残った声で呟く
「・・・いいよ」
それだけ言うとまた目を閉じ寝息をたてる
「チッ」
寝ぼけていただけか、それでもすっかり殺意はなくなった
◇◇◇
連絡を受け部屋を訪れたキラーは
ベッドで眠るアリアに目を向け安堵しているようだ
「アリアが戻って良かったな」
「あァ。手間が省けた。
こいつを船に乗せることに文句ねェよなァ?」
「ない。戻ってきたのはアリア意思だ。
ほかの連中も文句はないだろう。」
「あ?文句なんざ言う奴は殺してやるよ。」
「違いない。」
酒を煽りガンっと机に叩きつける
「オークションを見物してさっさっと新世界へ行くぞ。」
「あァ。オークションの前にアリアを
買い物にでも連れていったらどうだ?
指輪以外はトラファルガーからもらったものだろう。」
「当たり前だ。他の連中は
オークション会場で待たせとけ。
アリアを起こすから先に外に出とけ。」
「・・・わかった。」
prev /
next