138
::


着いたのは少し古びた酒場だった

「ここにキッドがいるの・・・?」

「うん!シャチの情報だから間違いないよ!」

「ベポありがとう!
皆にもお礼を伝えといてくれる?」

「わかった!アリア、元気でね!」

ペポと別れ酒場の扉をそっと開き中の様子を伺う
多くの人がいて賑わっている
一番奥のテーブルにキッドはいた
すぐに分かる燃えるような赤い髪
お酒を飲み干していた

「キッド・・・!」

周りを気にせずにキッドの元へ駆け寄る
勢いよく飛び込み抱きつく
恐る恐る顔見ると目を見開いていた

「キッド・・・?」

「アリア、」

驚いているだけで怒ってはいないことに安堵する
大きな手が頬に添えられキスを落とされ
激しく舌を吸いあげられ脳が痺れていく

「んぅ、キッ、ド・・・」

やっとキスが終わる
怒鳴られないということは受け入れてもらえたのだろうか

囃し立てるような軽い口笛が聞こえると
キッドはテーブルの上にあった
酒瓶を全て落としテーブルクロスをかける

酒瓶が割れた音と一緒に
大きなものが壊れる音が耳に響いた

「アリア、話は後でたっぷりと聞いてやる。
今は大人しくしていろ。」

そっと隙間から見ると酒場の壁が壊され
男が外へと飛び出す

「喧嘩なら“壁”の向こうへお預けにしようぜ」

アプーよせ!と声がかかるが
手が異常に長いアプーと呼ばれる男は挑発的に笑う
お預けにしようと言ったくせにその様子は伺えない

「なァ、おい。
オラッチの強さ知らねェな?」

あたしを壊れた壁の内側に立たせると
苛立った様子で懐にあるナイフに手をかける

「だったらジロジロ見てんじゃねェよ」

頭!ダメですよ!と
慌てた様子のクルーを振り払い
地を這うような低い声を出す

「ムナクソ悪ィ野郎だぜ・・・
今決してやってんもいいんだぜ」

「あのユースタス・“キャプテン”キッドに
女がいるって噂は聞いていたが本当だったとはなァ!
美人な女だな。
お嬢さん!そんな男よりオラッチと旅をした方が
最高に楽しいぜ!」

急に話しかけられて驚いたが
何も言わずにかけられたクロスを
頭までかぶりしゃがみこむ

「見れねェように目ん玉えぐり出してやろうか?」

「やれるもんならやってみな。」

止めてくれるはずのキラーの姿を探したが見当らず
慌てるクルーと一緒に成り行きを眺めるしかできなかった


prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -