炎と氷
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手を握られ走り出そうしたその瞬間に
足元に氷が突き刺さる

「こらこら〜
勝手に話進めない。
ダメでしょ。人の女連れてっちゃ。」

振り向くとクザンさんが気だるげに立っていた
振り向いたエースは
あたしを背中に庇いクザンさんを睨みつけた

「先に奪っていったのはそっちだろ。」

「まぁ、そうだけどね。
でも今は七武海ドフラミンゴの女なんだから。」

「アリアはオレが連れて帰る!」

目の前で氷と炎がぶつかり合う
守りながら戦うエースは明らかに不利だ

「なんじゃ、面白そうなことしちょるのう。」

聞いたことのない声に振り返れば
威圧感がある男がにやりとしながら現れた

「チッ、大将赤犬・・・」

手に炎を纏うでとそれは
エースの炎とは違ってドロドロしている

「クザン、何しちょる。
遊びも大概にしておけ。
わしがやってやる。どけ!」

クザンさんの攻撃を防御していたエースに男の拳が向かう
危ない!と思った時には身体が動いていた

「ぅ、っ」

拳が身体を突き抜ける
体の中を焼かれるような痛みが全身をめぐる

「アリア!!!」

「エース、親父さまにお元気でと、伝えて。
早く、いって・・・!」

「ほらほら、火拳。
アリアちゃんの怪我無駄にしないの。
逃げるなら今だよ。」

「おい!クザンさっさっと殺らんか!!!」

「っ、アリアまた絶対に会いに来る!!」

海辺にあったエースのストライカーに飛び乗り
すぐに見えなくなった

ズズっと身体から拳が抜かれ
身体が地面に倒れ込む直前に
クザンさんが素早く抱きとめてくれた

「くっ、けほっけほっ」

「折角のチャンスを捨てよってアホが!
それでなんじゃ、この小娘はこいつも
火拳のガキの仲間か?」

「ドフラミンゴの女だ。」

「この娘がか?
あの男もついに頭がおかしゅうなったのか?」

それはだいぶ年が離れて見えるぞ、ということなのか

「クザンさん、ごめんなさい。
もう大丈夫・・・。」

クザンさんの腕から降りると
治った怪我をみて赤犬と呼ばれた男が
目を見開くがすぐに背中を向ける

「能力者か・・・まぁ。いい。報告は任せたぞ。
わしゃ今からちいと出かけにゃあいけんけぇな。」

「はいはーい。
アリアちゃん。帰るよ。」


◇◇◇

帰り道、赤犬と呼ばれた男の名前が
サカズキさんだと言うこと、立場などを教えてくれた
エースと逃げようとしたあたしを責めることはしない

ぽつりとクザンさんが呟いた

「久しぶりに会えて良かったね。」

クザンさんはあたしをエースがあたしを連れ去ったのを
わかっていたのだろうか
ギリギリまで一緒にいるとことを
許してくれたのかもしれない
彼なりの優しさだったのかもしれない

穴の空いた服を見る

「服、買って帰ります。
このままだとドフィに何を言われるか
わからないから。
この事はドフィには内緒にしてくれますか?」

「あァ。わかった。
いい店がある。おれがプレゼントするよ。」


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