実態を刻む
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「なんだと・・・?!番に!?
どういう事だ。ドフラミンゴ」

バンっと凄い力で机を叩くセンゴクさんに
驚いてドフィに抱きつく
宥めるように大きな手で背中を撫でられる

「言葉のままだ。
アリアはおれと番になったから
身柄は正式におれが預かる。
海軍の監視下に置く必要もねェ。」

ドフィが抱えたまま髪の毛をかき分け
項をセンゴクさんとお鶴さんへ見せると
二人とも絶句しているのがわかった

「・・・あんた、無理矢理噛んだのかい?」

「人聞きが悪いじゃねえか。
あと、こいつも悪魔の実の能力者だ。
実の名前は教えてやらねェがな。」

「悪魔の実を?!
貴様っ!勝手なことを!!!」

「フッフッフッ
教えてやるだけマシだろうが。」

二人の怒りを笑ってかわすドフィの服を引っ張る

「アリアどうした?」

「喉乾いたからちょっと水のみたい。」

「わかった、話は終わったから帰るぞ」

「まちな!
身柄をあんたに渡すには
手続きが必要だ。
あんたはここに残って
アリアは外にいるクザンといって来な。」

二人に背を向け部屋を出ていこうとするドフィを
お鶴さんが厳しい声で呼び止めた

返事に困ってドフィを見ると
渋々といった様子で床に降ろされる

「すぐに帰ってこい」

「うん」

扉の外にはクザンさんが立っていた

「アリアちゃん、何飲みたい?」

「別に・・・。ただ空気が怖くて出ていきたかっただけです。」

「なら、おれが散歩にでも連れて行ってやるか。」

無理矢理引っ張っていくクザンの
手を振りほどこうともがくがほどけるはずもなかった

「だめ、すぐ戻らなきゃ!!」

「大丈夫、大丈夫!
たまには離れてみるのもいいもんだよ。」

それでも暴れるあたしを軽々と抱きかかえて
歩くクザンさんをすれ違う海兵は
驚きの目で見るものの誰も止めはしなかった


◇◇◇


「ほらほら!機嫌直しなよ〜。
可愛い顔が台無しだな。」

「無理矢理連れてきたくせに。」

怒っていても差し出されたジュースを受け取る
海軍本部の街だけあって平和そうだった

横に座るとクザンさんはアイマスクをつけ始めた

「あー。ちょっと休憩。」

「・・・もしかしてサボりたかっただけですか?」

問いには答えずにすぐに寝息が聞こえてきた
はぁ・・・とため息が出る

それでもドフィから離れたのは久しぶりで
ほっとしている自分がいた

最初はドフィを利用して
親父さまの元へ帰ろうとしたのはあたしだ
なのに身動きが取れない状態になってしまった

自分の馬鹿さ加減に笑えてくる

ぼーっとしていると
目の前を黒い何かが横切ったと思った瞬間
手を引っ張られ走り出していた

誰だかわからないのに
その手はとても安心できる手だった


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