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唇が触れるか触れないかの距離で
我に返りローを押し返すと
すんなりと離れた

「っ、キッドに捨てられたら
誰の手も借りずに一人で生きる。」

「へェ、俺はお前を物みたいに扱ったり、
傷をつけたりしねェぞ。」

「・・・ローはあたしを使って
ドフラミンゴを釣ろうとしてるでしょ?
あたしには交渉に使えるような価値なんかない。
現にドフラミンゴもあたしを探したりしてないもの。」

「クク、バレてたか。
そうだ。俺にとってはお前は
ドフラミンゴと交渉する品の一つになる。」

笑っているのにどこか物悲しい雰囲気を感じた
きっとドフラミンゴのせいで
ローは大切な何かを失ったのだと思った

「・・・ロー」

腕を伸ばしローの抱きしめた

「な、」

「悲しそうな顔をしないで。
あたしがドフラミンゴと
ローの関係に口出しはしないけど
ローには今は一人じゃない。
クルー達もいるんだから
もっと自分を大切にして。」

しばらくすると驚いて
固まっていたローの体の力が抜けた

「・・・お前は嫌な女だ」

腕をほどかれたと思ったら顎を掬われ
気がついた時には唇の横にキスをされた

「っロー!」

さっきまでの悲しそうな顔はなくなり
またいつもの意地悪そうな顔に戻る

「一つ訂正しておくが
ドフラミンゴはお前を探している。
十分にアリアは交渉の品になる。」

「・・・探し、てる?」

「あァ、ユースタス屋も気がついているはずだ。
だからお前をあまり外に出さなかったんだろうな。」

だから外に行くたびに
ローブを着せられていたのかと納得がいった
ドフラミンゴがあたしを探していた事も驚いた
呆然とするあたしをローが笑う

「お前が思っている以上にお前には価値がある。
自分を大切にしろ、って言葉はお前に返す。
独占欲と支配欲が強ェような男はお勧めしねェな。」

胸元に彫られている名前をなぞられ
少しくすぐったい

「・・・いいの。
これはキッドのものだという印だもの。」

「変な女だな。
とりあえず、俺は部屋に戻るが
何かあれば呼べ。
一応お前はユースタス屋の女だ。
この部屋から勝手に出ることは許さない。」

「うん。わかった。」

頷くとローは部屋から出ていってしまった

扉が閉まると同時にベッドへ寝転がる

「そうか・・・。
あたし、子ども産めないかもしれないんだ。」

声に出しても実感が湧かなかった


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