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この数日船の中は空気がピリピリとしている
出来るだけキッドの目につかないように
強面のクルー達ですら静かに過ごしていた

キッドの部屋に入ると部屋は荒れていた
苛立って蹴り飛ばした机がそのまま床に転がっていて
床には酒瓶が転がっている
キッドはソファに寝転びながら酒を煽っている

「キッド、そうピリピリするな」

「・・・してねェ」

「アリアなら大丈夫だ」

「うるせェな。心配なんかしてねェよ。」

アリアが攫われた日に
船に残った海兵は喋れる程度に痛めつけ
得た情報はたまたま見つけたこの船に乗っているアリアを
見てみたいとガープが言い出したとの事だった

舌打ちをしたキッドは男を甲板から蹴り落とす

すぐに近くの島に寄り武器を集めて
ガープの船に向かった時には
もうすでにアリアはいなかった

「あの娘は逃げたぞ」と笑うガープは
こちらを攻撃することもなく
面白いものを見るような顔でこちらを見ていた

アリアが逃げたとわかったが
鬱憤を晴らそうとするキッドはそのまま戦闘を
開始しようとするのを止め
船を引き上げたが海軍は追ってもこなかった

その日からキッドは苛立っていた

これほどまでにアリアに
入れ込んでいるとは思わなかったと溜息が出る

「クルーが怖がってるぞ。
俺たちの目標はなんだ?
女一人に構ってる暇はない。」

アリアが戻ってくる、逃げたと聞いた時にそう思った
アリアもまたキッドに
好意を抱いているように見えるからだ
キッドは気がついているのだろうか

「・・・当たり前だ。
船はこのまま進める。」

もしかしたら探しに行くと言い出すのでは、
と思っていたがそうではないらしく安堵した

キッドは起き上がり酒の入った瓶を床に投げ捨てる

「だが、あいつも連れ戻す。
全てを手に入れるのはこの俺だ。」

フンと鼻を鳴らし部屋から出ていく

やはりアリアは特別らしい
こんなにも女に執着したのを見たのは初めてだ

溜息をついてキッドを追った

◇◇◇◇◇

「アリア、しんどくない?」

「大丈夫。ありがとう。」


この船は普通の船と違い潜水艦らしく
窓からは海の中が見える

たまたま海の上へ出てきた所を
ローがあたしを見つけてくれたらしい

「潜水艦って素敵ね。海の中が見えるもの。」

「うん!そうだね!・・・って、
アリア、外ばかり見てないで寝ないとっ!
キャプテンに怒られるよ!!」

「んー。でももう大丈夫だよ。」

「もう、アリアってば・・・」

「だめだ。もう少し寝てろ。」

急に聞こえたローの声に振り返ると
ノックもなしに部屋に入ってきていた

「あ!キャプテン!ノックもなしに
女の子の部屋に入っちゃだめだよー!!」

「これは俺の船だ。どこに入ろうと俺の勝手だ。
それよりアリアと話があるから
ベポは出ていってくれるか?」

「アイアイ!でもアリアのこといじめないでね!」

ベポが部屋を出ていくと部屋は静かになった


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