見えない見ない
::


案内された部屋はどこかのホテルの
スイートルームの様に広く豪華だった
出ていこうとするオールサンデーさんを
ドフィは呼び止めた

「おい、オールサンデー。
いらねェやつ連れてこい。」

「・・・あら、実験?
丁度任務に失敗したのがいるわ。
すぐにつれてくるわ」

クスクスと笑いながら出ていく

「ドフィ・・・実験って何するの?」

「たいしたことは無い。
お前の能力を確かめるだけだ。」

「・・・うん」

すぐにオールサンデーさんが
縄で縛られ口も塞がれた男を引きずりながら戻ってくる

「私も能力を見ていいかしら?」

「好きにしろ」

男を床に転がし壁際に移動して見物するようだ
転がされた男はドフィを見ると
目を見開きガタガタと震え出す

「アリア、俺の前に立て」

言われたとおりにドフィの前に立つと
シュンっとドフィの指先から
何かが飛んできて肩に痛みが走る

「ちょっと・・・!」

焦ったようなオールサンデーさんの声が部屋に響いた

痛いと思ったのは一瞬で
その痛みはすぐになくなる
恐る恐る肩を見ると
服には穴が開き切り裂かれたように破れている
床には大量の血がとんでいて
肩にも血がついているのに傷痕は見つからない

「アリア痛いか?」

「一瞬だけ痛かったけど・・・。
今は痛くない。
この血はあたしの?」

「あァ・・・お前の血だ。
フジフジの実は本物らしいな。
そこに這いつくばってる男の首に触れろ。
さっきの痛みを思い出して、な」

「え?触るだけでいいの・・・?」

何故こんな事をさせるのか
普段は他の男の身体を触るのなんて嫌がるはずなのに

今のやりとりを見ていた男は
先ほどよりも震えているようだ

「大丈夫、触るだけだから」

宥めるように男に話しかけながら近づくが
縛られていない足で後ずさるように逃げる

「大人しくしなさい。三輪咲き(トレスフルール)!」

オールサンデーさんの声がすると
床から手が生えてきて男の身体を押さえつける

吃驚するがオールサンデーさんの能力なのだろう

一瞬で去った痛みを思い出しながら
近づいて男の首に触れた

ドンっと手に衝撃がはしり身体が飛ぶ
ドフィに受け止められ男を見ると
首から血を吹き出しビクビクと痙攣しながら
呻き声をあげたがすぐに動かなくなった

「今の、は・・・」

触れただけなのに
手が、震える
その震えを隠すように手を握る

「フフフフフ
お前は受けた攻撃を吸収して
触れた相手にその攻撃と同じ威力のものを
与えることが出来る。」

「あの男の人は、死んだの・・・?」

「あァ。首におれの攻撃を受けたんだ。」

壁に際にいたオールサンデーさんが
近づいてきてあたしをドフィの腕から引き剥がした

「ドフラミンゴ、もしMr.0が偽物の実を渡していて
アリアちゃんが死んでいたらどうするのよ。」

「あいつは金さえちゃんとしてりゃ
偽物なんて売ってこねェ。
だが、もし偽物でアリアが死んでいても
おれのせいでアリアが死ぬのなら別にいい。」

「な・・・!」

「誰かに殺されるのは癪だが、おれが殺せば
アリアはおれを最後に見て死ぬ、
永遠におれのもんだからなァ。」

フフフフフと笑うドフィは本気なのだろう
あたしの体を抱きしめるオールサンデーさんの
手に力がこもった

その手をそっと握る

「オールサンデーさん。
大丈夫。ありがとう。
ドフィはあたしを殺したりしないもの。」

「・・・アリアちゃん」

今度は腕を強く引かれ
ドフィの腕の中に戻された

「違う部屋に案内しろ。
こんなゴミがある部屋に
アリアを泊まらすわけには行かねェだろ」

ドフィはあたしが殺した男を蹴る

「我儘なお客さんね。
アリアちゃん。
こんな男お勧めしないわ。」

困ったように微笑むと
ふぅと溜息をついて「ついてきて」と
違う部屋に案内される

(ごめんなさい)

心の中で動かない息絶えた男の人に謝る
謝っても許されるわけないのは
わかっていても謝らずにはいられなかった

prev / next
[ back to top ]
top
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -