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毎晩激しく抱かれ
疲れがとれずに体が重たい

昼間もほとんどベッドから
出れずにゴロゴロとしている

何気なく起きてシーツを巻き
ソファにいくと新聞が置いてある

外の情報をあたしが知るのが嫌らしく
新聞を置いておくことはないが
今日は忘れてしまったのだろうか
少し迷ったが最近のことが知りたいという欲が出て
新聞を手に取った

新聞には前にも見た麦わら帽子の青年の記事
アラバスタという国で騒ぎを起こしたらしい
笑顔の青年は悪い人には見えない

無邪気な笑顔、あたしより少し上くらいだろうか
自分の意思で海に出ていき名を挙げている
自由に生きている彼にいつか会ってみたいと思った
あたしにも笑顔を向けてくれるのだろうか

自由に生きている青年を前なら
羨ましく思ったかもしれないが
尊敬はするものの羨ましいという感情はなかった

あたしも今は自分の意思でここにいる
キッドのそばにいたいと思っている

夢中で記事を目で追っていると突然
目の前から新聞が消えた

「おい」

すぐにベッドに戻ればよかったのに
夢中で新聞を読んでいた自分を叱りつけたい

恐る恐る後ろを振り向くと
額に青筋を立てたキッドが立っていた
読んでいたページをチラリと見て舌打ちをした

「アリア、前も麦わらの事気にしてたな。
気でもあるのか?」

「違うっ、」

ヒュっと息を飲む
久しぶりに怒らしてしまったらしい
他の男の人を見ただけで
それがクルーだとしてもキッドは腹を立てる

「どうだか。
次の主人でも探してたか?」

大きな手が首にかかる
じわりと背中に汗が浮かぶ

「最近、可愛がってやってたから
調子にでも乗ったのか?」

「ぅ、ぅぁ」

首に触れる手に力がこもり息がしにくい
どこかに行けるはずもないキッドの名前を
身体に刻んでいて懸賞金もかけられているのに

スっと手を離されキッドが離れた
求めていた酸素が急に入ってきて咳き込む

戻ってきたキッドの手には首輪と鎖がある

「躾ができてねェペットには罰を与えねェとな」

そう言ってニヤリと笑った

大人しく首輪を付けられると
首輪に繋がった鎖を引っ張られ
その反動でソファから転げ落ちる
シーツは取り上げられ裸のままだ

「ペットがソファになんか座ってんじゃねェよ。」

立ち上がろうとすると今度は足で蹴り倒された

「ぅ、」

転げた表紙に背中を打ち痛みで思わず声が漏れる

「四つん這いでいろ。
立ち上がるんじゃねェよ」

冷たい声色が頭の上から聞こえた

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