嘘が大きくなっていく
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ドフィの腕にもたれ掛かるように歩き
機嫌をとるように話しかける
甘いお菓子が欲しいと強請ると
優しく「わかった」と返事が返ってくる
何かを欲しいとお願いするのを
ドフィは何故か喜び、機嫌がよくなるのだ

自分を使って機嫌をとるのに
だんだんと慣れていっている
これだから元の世界でもΩは
αに媚びていると蔑まれるのだ

そんなのは嫌いだ、許せないと思っていたのに
結局はドフィに縋っている



コロシアムの裏口から出ると
土の臭いと血の臭いが風のって鼻につく
臭いは小さな広場からだった
怪我をした戦士達が手当てを受けていた
ドフィを見つけると怯えた目をして
顔を逸らすものが殆どだ

1人、隅で蹲る男の元へ止める間もなく
あたしの手をそっと離しドフィが足を進める

「おい、お前今日の試合はなんだ?」

ヒッと小さく悲鳴を漏らした男の首を掴み持ち上げる

「誰がお前の逃げ回る姿を見て喜ぶ?
客は血が見たくてコロシアムに来ていると
何回言えばわかるんだ?!」

「ウグ、グ」

男は苦しそうにもがく
周りは目をそらし助けようともしない
皆、小さくなり震えている

「お前らもだ!
無様な姿を観客に見せるんじゃねェ!
お前らは客を喜ばせるための人形だ!覚えとけ!!」

もがいていた男の顔は青ざめ
手足さらは力が抜けている
素人のあたしからみてもこれ以上は危ないとわかる

「ドフィっ!死んじゃうっ」

いてもたってもいられずに駆け寄り
ドフィの腰へとしがみつくと
やや間があって空いている手で優しく顎を掬われる

「・・・アリア、こいつを庇うのか?」

今度はあたしが小さく息をのむ
優しい手つきとは反対に
ドフィからはあたしへの怒りが
ビリビリと肌を震わす

「・・・庇ってるわけじゃない。」

怖い

それでもなんでもないように落ち着いて
これ以上怒らせないように考えて言葉を発する

持ち上げ男を地面へと物を捨てるように叩きつけ
小さくうめき声をあげる男の腹を踏みつける

「女に庇われて、助けられるのが戦士か?!
斬れねェなら斬られろ!!!
お前らの血で観客を喜ばせろ!!!
こんな試合をさせねェよに教育しとけ!」

「は、はい!若!」

腕を掴まれ引っ張られるギリギリと腕が痛い



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