玩具の兵隊
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玩具達を見ていると
男の人の声が響き渡る

《お待たせいたしまたァー!!!
本日は戦士と猛獣との戦いでございます!!
さて、誰が生き残るのか!!》

会場が震える程に観客達は盛り上がる

会場の真ん中にある闘技場に
人がゾロゾロと出てくるのをみていると
鎧に身を包み屈強な戦士もいるが
鎧を身につけていても
震え一般人にしか見えない人もいる

「ドフィ・・・今から何が、」

言い終わるために合図とともに何匹もライオンが放たれ
観客席から歓喜が闘技場からは悲鳴が聞こえる

震えている人間は立ち向かう事もできずに
すぐにライオンに襲われてしまう

飛び散る血に背筋が冷たくなっていく
これを皆はおかしいと思わないのか
周りを見渡してみるが笑っている

「あ、」

吐き気がこみ上げてきて思わず口を押える

「アリア、どうかしたか?」

口角をあげるドフィの顔をみて
わざとここに連れてきたのだとわかる

血に慣れろと言う事なのか、
それともこれもあたしを試しているのか

「なんでも、ない」

震える手を後ろに隠し首を横に振る

「フフフ、そうか。
何かあれば言え」

逃げ出すわけにはいかない
怖がっているのも出してはいけない

もう1度戦いが行われている方へと目を向けると
既に動かなくなっている人、怪我をしている人
それでも動ける戦士達は
次々と襲いかかるライオン達を倒していく

最後の1頭が倒れるとやっと終わりらしい

観客席は最高潮に盛り上がっていた
この後に王として民衆に声をかけるドフィは
部下に準備をされていた

「ドフィ、トイレに行きたい」

ドフィがここから動けないのをわかって声をかけると
少し眉間に皺を寄せられたが
護衛をつけられ案内してくれる事になった
本当にトイレに行きたいわけではない
この場所から離れたかっただけ

「ぅ、」

ドフィの側から離れ緊張が解けると
急に気持ち悪くなってしまった
思わずうずくまってしまうと
護衛達は心配して周りを囲む

「か弱い女性に何をしている!!」

「ギャッ!!」

聞いたことのない声と悲鳴が聞こえた
振り返ると付いてきてくれていた
3人の護衛達は白目を剥いて倒れていて
変わりに立っているのは
片足がない玩具の兵隊

「大丈夫ですかな?お嬢さん。
お怪我は?」

驚いて固まってしまったがどうにか
言葉を返す

「あの、この人達はあたしを
護衛してくれただけで、」

「なんと!!
勘違いをして気絶させてしまった!」

アワアワと慌てた動きが
人間と違ってカクカクとぎこちない

「ふふふっ、」

それがなんだか可笑しくて笑ってしまった

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