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目の前の母さんが横に飛び
小さな悲鳴と共に尻餅をついていた

キッドが母さんを突き飛ばしたのだ
驚いた顔でキッドを見る

「ユースタス、キッド・・・?」

「ユースタス“キャプテン”キッドだ。
こいつは俺のもんだ。触んじゃねェよ。」

キッドに抱き上げられたあたしを睨みつける

「私は、この子の母親さ!
子どもを好きにして何か文句でもあるっていうの?!
はん、あんた海賊に取り入って
贅沢してるのね。
こっちはあんたがいなくなって
入ってくるものがなくなって迷惑してんだ。
さっさっと行くよ!!」

キッドに抱えられ母さんを見ると
小さく見えた幼い頃は好かれたくて必死で
叩かれても我慢していた
薄情かもしらないが今は何も思わない

「嫌だ。あたしはあんたを
母親だなんて思わない。」

「生んでやったのは私なんだ!
親孝行でもしたらどうなの?!」

何を言っても平行線のまま話にならない
母さんはあの店との連絡をとっていて
ドフラミンゴの所に身請けされていば
母さんにもお金が入ったらしい
キッドが黙ったまま母さんに札束を投げつけた

「目障りだ。さっさっと消えろ」

投げつけられた札束を懐にしまい込み
嫌な笑顔をこちらに向ける
その姿はなんだかとても悲しく思う
自分はやはりお金でやりとりされている身なのだと

「ふん、額が少ないけど話がわかるじゃない。
あんたも上手いことやったわね。」

そのまま母さんはどこかへ行ってしまった

「女の喚く声がするから戻ってみればこのザマだ。
テメェは変なもんを寄せ付ける力でもあんのか?」

「ごめんな、さい」

怒っているキッドの顔を見れずに俯く
チッと舌打ちが聞こえた

母さんがいなくなるとざわざわと人の行き交う音が聞こえた
ここは街中だったことを思い出す
母親と再会した時から周りの音、
様子がわからなくなっていたらしい

チラリと様子を伺えは野次馬が何人か集まっていた
騒ぎが収まったとわかると
それぞれ人混みへと消えていった


「帰るぞ」

「・・・はい」

重たい雰囲気のまま船につき
真っ直ぐに部屋へと戻される
無言のまま部屋を出ていってしまった

静かな部屋で1人
涙がポロポロと頬を伝った

わかっていたのに
お金のやりとりは思っていた以上に心が痛かった

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