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ゆらゆらと揺れる

その揺れが心地いい

「アリア」

「ん、」

名前を呼ばれる声に反応する

「水飲めるか?」

首を振ると顎を掴まれ他あとに
唇が塞がれゆっくりと水が
口の中に入ってきた

それを飲み込む

もっと欲しいと強請るように
首に手を回すと何回かにわけて
水が与えられた


霧がかっていた意識が
少しはっきりとしてくると
自分がキッドの膝の上にいることがわかったが
まだあまり力が入らない体を動かす事ができなかった

「キッド、ここ、どこ?」

「船だ。酒の入った菓子で酔ってんじゃねェよ」

眉間に皺を寄せぶっきらぼうな言い方なのに
顔にかかった髪をどける手は優しい
これは、夢なのかもしれない

「ん、ごめんなさい」

「明日も街に行く、寝ろ」

「このまま寝て」

ギュッと抱きつくとキッドの身体が
熱くなった気がした

「あ?俺はまだ寝ねェよ」

「おやす、み」

「おい、」

瞼が重い
目を閉じればスイッチを切ったように
意識が途切れた



◇◇◇
暖かい
その感覚でふわふわとただよっていたが

目を開けるとひっと息をのむ
目の前にあるのは大きな胸板だった

そっと起き上がろとするが
腕の中で閉じ込められていて
離れる事ができなかった

「・・・なに離れようとしてんだよ」

「あ、暑いかなと、思って」

「テメェが言ったんだろ」

「え、」

昨夜のやり取りを思い出す
あれは夢じゃない

そう思うと急に恥ずかしくなり
離れようと胸板を押す

「チッ、可愛げがあんのは
ベッドと酒飲んだ時だけか?」

舌打ちと共に組み敷かれ
服を脱がされる

「キッド、朝っ」

「関係ねェだろ、テメェが他の女と
寝て欲しくないって言ったんだろーが。
ちゃんと機嫌とれよ?
じゃねェと他の女のとこいくぞ」

今までなら勝手にすれば!と返していたはずなのに
言葉の変わりにキッドの胸にキスをして顔を埋めた

「やだ」

「・・・なら文句言うじゃねェよ」



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