110
::


この店の女はアリアにも
嫌な顔をせずに接していた
やたらベタベタ触られていたが放っておくと
隣でキャーキャー騒ぐ声が聞こえ
内心舌打ちをしそちらを見ると
アリアがぼんやりとしてるのが見えた

「テメェら何してんだ」

「あら、お頭さんお話は終わり?
アリアちゃん、お酒入りのチョコ飲んだら
酔ったみたい。ふふ、可愛い」

「チッ、寄越せ」

立ち上がりアリアの椅子の前に行くと
盛り上がっていた女達は
アリアを渡すのを渋る顔をしたが
すぐにアリアを差し出してきた

仕事を思い出したように
俺とキラーの隣に座る女共を
睨むが気にした様子はない

「ふふふ、なんだかフワフワする」

アリアは酒に弱い
甘えたようにクスクスと笑い
首に腕を巻き付けてくる

普段は絶対に見せない仕草を
酒が入るとやってのける

「・・・アリア黙ってろ」

「キッド、よしよしして」

「うぜェ」

唸るアリアを無視して酒を煽ると
横から女共が口を出してくる

「頭撫でるぐらいしてあげなよー」

「そうよ!減るもんじゃないし!」

「うるせェ。黙ってろ。」

「こわーい!アリアちゃん。
こんな怖い人の所じゃなくて
私達といましょうよ!」

怖がってる様子もなく手を伸ばし
すぐにアリアに触れようとする
頭を優しく撫でられアリアは
気持ちよさそうに目を細める

「なんならココで働いてもいいのよ?
アリアちゃんならすぐ売れっ子になるわ。」

女はあろうことか
俺の目の前でアリアに誘いをかけた
激しい怒りが沸き上がる
キラーに視線を送ると
渋々といったふうに頷く
胸元のナイフに手をかけようとした時に
甘い声が静止をかけた

「お姉さんっ、あたしは
キッドから離れないの。
この胸の刺青、見えるでしょ?
あたしはキッドのモノ。
夢を叶えるって約束もしてるの。」

酒が入り甘ったるい声
その辺の女の声なら鬱陶しいものなのに

ナイフを握ろうとした手は
ぎこちなくアリアの頭を撫でた

「ふふ、キッド優しい」

ピタリとくっついてくるアリアは熱い
身体も赤くなっている
相当酒が回っているようだ

「絶対私達の方が優しいわ!
ねぇ、いらっしゃいよー」

嫌っとそっぽを向くアリアを見て
また女達は可愛いー!叫ぶ

さっきまでの怒りが
嘘のようになくなる
もう一度キラーを見ると
ゆったりと座っていた

怒りが治まったのがわかったらしい

ククっと小さく笑うと
アリアは不思議そうに
潤んだ大きな赤い瞳で見つめてくる

酒を口に含みアリアの唇を塞ぐ
口の中の酒をアリアに注ぎ込む
それがなくなると舌を絡ませ深く口付けをする
苦しそうにしながらも
首に手を回し懸命に応えてくるアリア

この感情は何なのか
胸が熱くなるような、落ち着かないような、
名前がわからない感情に苛立つが
それが妙に可笑しく口角が上がる

アリアを口付けから解放すると
ぐったりとして息が荒い

口角をあげたまま女達を見渡す
女達は吃驚した顔でこちらをみていた

「コレは俺のモンだ。
やるわけねェだろーが」

「見せつけるなんてひどい人!」

「うるせェな。
コイツに2度と誘いをかけんなよ」

ギャーギャー喚く女達を鼻で笑う
アリアは腕の中で寝息を立てていた

prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -