ダラけきった正義
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静かな部屋で1人で本を読む
ドフィは会議に参加している
部屋から出ることも可能だろうが
部屋の外には見張りがいるし
おつるさんもいないし
発情期が近いので不用意に
出歩く事は避けなければいけない

発情期の症状を抑える薬が
この世界にもあればいいのに...と
ため息が漏れる

少しぼーっとしていると
扉をノックする音がした
ドフィはノックなんかせずに
そのまま入ってくる
ドフィではない誰かが来たらしい

「・・・どうぞ」

扉から入ってきたのは
最初にここに連れてきた男だった

「アリアちゃん、久しぶり」

「・・・クザンさん」

相変わらず額にアイマスクをつけ
気だるそうにに入ってくる

他の海兵達と少し違う雰囲気の男の人
悪い人ではないのだろうが
白ひげ海賊団から引き剥がされた事で
信用していいかわからない灰色の人という感じだ

警戒を知ってか知らずか
向かい側の椅子に腰掛け
出されて手をつけていない紅茶を
勝手に飲みだした

「どう?ドフラミンゴとは上手くやってる?」

「上手くいってるわ。」

「アリアちゃんはてっきり白ひげの所に
恋人がいると思ってたけど
例えば、火拳とか不死鳥あたり?
あの時大暴れしてたみたいだしね」

「・・・恋人なんていなかった。
皆優しかっただけ。」

嘘はついていない
エースとも恋人だったわけではない

下手なことを口走らないように
神経がすり減っていく気がする
クザンさんの視線が探るように刺さる

二人の間には会話はなく
クザンさんの紅茶をすする音がする
早くここから出ていってほしいのに
出ていく気はないらしい

「・・・早く仕事に戻ったらどうですか?
海軍大将なんでしょ?」

「あら、おれの事知ってくれたの?
嬉しいなー
仕事なんかするくらいなら
アリアちゃんとお喋りしたい
おじさんの気持ちわかってよ」

「正義を掲げた海軍が
海賊の恋人と話なんてしていいの?」

嫌味を込めて返事をするが
クザンさんは笑うだけだ

「おれのモットーは
『ダラけきった正義』だからな
仕事なんか次の次だ!
カワイコちゃんと話してる方が
よっぽど有益だしな。
ところでアリアちゃんっていくつだっけ?」

「16」

「えぇっ16?
今でこんないい女なのに
もう少ししたらもっといい女になるわけ?
おじさん怖いわー」

こんなくだらない話をするなら
早く出ていってほしいと
心の中でため息をついた

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