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渡した指輪を指にはめたまま
眠るアリアの顔を見つめ
指輪を渡した時の笑顔を思い出す

『キッドの髪の毛みたいに綺麗な赤』

そう言っていたが
俺からしたらお前の目の色みてェだ

アリアがベンチで飯を食ってる間に
あの店へと足が向いて
アリアがみていた指輪を買おうとすると

『これ、実はペアなんです!』

店員がふざけたことを抜かした

指輪を買ったのは気まぐれだ
自分のペットに買い与えただけだ

もう一つの指輪は同じものを
他の奴が持つのが許せるわけがない

ただそれだけだと自分に言い聞かせた

そっともう一つの指輪を自分の親指にはめた

◇◇◇

まだ薄暗い中、目が覚めてしまった
キッドの後ろ姿も
自分の指にはめられたままの指輪も
視界に入る

(夢じゃなかったんだ)

キッドから本や服以外でもらったものは
これで二つ目になった

一つ目は花
二つ目は指輪

どちらも嬉しいし
これから、もしかしたら
増えていくかもしれないと思うと
何故か口角が上がる

勝手に上がっていく口角を慌てて
元に戻すが自然と上がってしまう

(なんか、変なの)

無理やり抱かれて嫌な相手のはずなのに
なんで嬉しいだなんて思ってしまうのか
自分が自分でも分からない

なんだか今は無性に抱きつきたい

寝ているし抱きついてもいいだろうと思うと
キッドがごろりと寝返りをうちこちらを向く

(あれ、?)

キッドの右手の親指に指輪がある
いつも付けていただろうか?

周りが暗くてあまりよく見えないが
赤い石がはめられている
じっとそれを見ていると
目がなれてきたのか
指輪を見ることができた

キッドの指にあるそれも
自分の指にあるものと同じものだった
どきんどきんと動悸が打つ気がする

キッドが同じものをつけている

気に入ったのかもしれない
ただそれだけだろう

それでも同じものをキッドが
持っているという事実に何故か
頬が火照り胸が弾んだ


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