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キッドは約束通りに
船の外へと連れ出してくれた
もちろんローブと首輪は着用だけれど

久しぶりのあたしの姿を見て
クルーの皆は
「アリアちゃん〜久しぶり〜」
なんて陽気に声をかけてくる

それにペコリと頭を下げると
更に盛り上がっているようだった

「チッ、愛想振り撒いてんじゃねェよ」

キッドのその言葉に慌てて首を振り
すぐにフードを深く被り
キッドに隠れるように寄り添うと
ヒューと野次が飛ぶ


今日は2人で出かけるらしく
キラーの姿はなかった

ここは秋島で心地よい涼しさで
人も大勢いて活気がある
観光地なのかもしれない

抱えられたまま街の中を見て回るが
海賊にも慣れているらしく
嫌な顔はせずににこやかに接してくれる

いろいろな店がある中
目止まった店があった
綺麗な石を使ったアクセサリーショップ

何故か目を惹かれ
通りすぎてしまいそうになると
思わずキッドの服を握ってしまう

「あ?」

「あ、ごめんなさいっ」

パッと手を離すと訝しげに睨まれる

「何だ?」

「なんに、もないっ」

何もないとおろおろと否定するが
あごを掴まれ目を合わされる

「言え」

強い口調に緊張して
さっきの店を震える手で指さす

「あそこ、見たい・・・」

キッドは指をさした店を見て
眉間に皺を寄せたものの
無言でお店へと足を進めてくれた

お店の中はお香を焚いているのか
甘い香りが漂っていた

店内は壁一面にまで
沢山のアクセサリーがあり
とても輝いている
初めてアクセサリーショップを見て
嬉しさと感動でため息が漏れる

キッドに抱えられ店内を回っていると
小さな赤い石がついた指輪に目がいく。
キッドの髪のように綺麗な赤い石

「わぁ・・・綺麗・・・」

思わず小さい声で呟いてしまうと
聞こえたらしいキッドが顔を覗き込んでくる

「何かほしいのでもあんのか?」

「えっ、ないよっ
見たかっただけ。ありがとう!
もう出ようっ」

お腹が空いたと言えば
納得行かない様子ではあるが
了承してくれたらしく店を出てくれた

そこからはこの島が
服屋や本屋に何も言わずに
連れいってくれ購入してくれた

大きなアイスを上手く食べれずに
苦戦しているのを見てクツクツと笑うキッド

まるで男女のデートのようで
あたしまで笑顔になった



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