壊せるくらいの悲しみ
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いないでほしいなどという
淡い希望は叶わなかった

目の前には驚いた顔をしている
マルコさんがいる

人が行き交いざわざわと
騒がしいはずなのに
耳にはなんの音も入ってこない

ちょうど建物から出てきた所だ
ここをわかっていたということは
ドフィはやはりわかっていたのかもしれない

「アリア、どうしたんだよい・・・?」

近寄ってきて触れてこようとするマルコさんに
触れられないように1歩下がる

ドフィはここまではついてこなかったが
どこで見ているかわからない

「マルコ、さん。
あたし...白ひげのみんなの所には
帰りません。
それをお伝えに来ました。」

「・・・何かあったのか?」

「何もないです。
あたしはドフィの所に
いるって決めたんです。」

マルコさんの顔がちゃんと見れない

心臓をぎゅっと掴まれたように痛いし
呼吸が上手くできない

「アリア、」

「や、触らないでっ」

伸びてきた手をパシっと払い除ける

本当は触れてほしい、触れたい
でもそれは許されない

「あたしはドフィの女になったんです!
首についてる痕が証拠です!
だからっ、貴方に触れられたくないっ、」

涙で視界が滲んでいく
それでも流さないようにと堪える

「アリア」

そんなに優しく呼ばないで
決心が揺らぐ

「こっち見ろよい」

恐る恐る足元に落としていた視線を
マルコさんに向ける
マルコさんは少し屈んで
視線を合わしてくれていた

「これならアリアに隠れて
誰にもオレの口元は見えねェから
大丈夫だよい」

「マル、コさん」

「何かあったのかはわかるからねい。
拒絶の言葉をそんな泣きそうな言葉で
言われてもオレは信じれないよい

絶対に迎えに来るよい。
それまで待ってろい。」

マルコさん、
あたしは誰よりもマルコさんに惹かれてる
もう、Ωの性を受け入れてもいい
マルコさんと番になりたい

愛してる

そう口を動かすと
マルコさんははにかんだように笑う

「オレもだよい。
エースにも誰にも渡してやらねェよい。
また会いにくるよい・・・

オレが押したら後ろに倒れろよい」

「えっ・・・?」

屈むのをやめて真っ直ぐ立つと
眉間に皺をよせて軽く肩を押された
わけも分からず尻もちをつくと

「あァ!わかった!
勝手にしろよい!!」

と言い放つと行ってしまう

それでもマルコさんに想いを告げれた事に
応えてくれた事に胸は熱くなる
別の場所にいてもマルコさんとなら
大丈夫な気さえした

「アリア様!!」

マルコさんが立ち去ると
ドフィの部下達が駆け寄ってくる

「大丈夫、です。
立てます。」

誰の手を借りることもなく起き上がると
目の前にドスンとピンクの
上着を着たドフィが現れた

「フッフッフッ、アリア帰るぞ」

これからはマルコさんへの気持ちを
隠し通してドフィといなければいけない

差し出された手を握りしめる

絶対に、強くなって
マルコさんの元へ、
白ひげの皆の所へ帰る



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