その口から落ちる言葉は
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今日は食事をする気にもなれない

放心状態のあたしをドフィは
下着も脱がせベッドへと寝かして抱き寄せた
食事はしなくても水分だけは摂れと
口移しで与えられる

ドフィはさっきまでの怒りが
嘘のように穏やかに頭を撫でて
恋人に話すように甘い声で囁く

「お前が従順なら
おれはいくらでも優しくできる。
そうだろ?」

「・・・うん」

「今いるのは白ひげの所でも
海軍の所でもねェ。

そんなに不死鳥に会いたいか?」

平然を装わないといけないのに
体がピクリと反応してしまった

ドフィはククッと笑う

「・・・明日会わしてやる。
ちゃんとお前の口で
別れを告げて来い」

「え...?」

何を言っているのか
頭が言葉の意味を理解できない
ひどく嫌な予感がした。
心臓が喉もとまでせりあがってくる

「今日の事で気が変わった。
お前が姿を隠したりしなきゃ
白ひげのとこに帰してやってもよかったが・・・」

「でも、道に迷っ...て」

泣き出しそうになるのを堪え
縋りつくようにドフィの服をもつが
そんなあたしを見て意地悪そうに口角をあげる

「おれが何も知らないと思ってんのか?
この島にはおれの知り合いが
沢山いるんだ」

「あ、の」

帰る場所がなくなる・・・?
目の前が暗くなっていく

「アリア、お前の誠意見せてくれるよなァ?
このまま白ひげの所へ逃げても
海軍との衝突は避けられねェぞ。
お前の存在が白ひげにとっちゃ荷物になる」

首筋にドフィの顔を埋めると
チクリ、チクリと数箇所に痛みが走った

きっと首には赤い痕がついているはずだ
それでも今はそんな事どうでもよかった


◇◇◇

あまり眠れなくても時間が経てば
次の日がきてしまう

あたしの気持ちとは
反対に空は嫌になるぐらい
いい天気だった

ドフィに人形のように服を着せられる
首の痕が見えるようにと
髪の毛も1つに束ねられる

「別れにはぴったりのいい天気だ。
不死鳥がどこにいるかなら
もう調べがついてる。
少し食べたらすぐに行くぞ」

食欲なんかあるわけない
それでもドフィが口元にもってくる
食事を無理やり喉の奥へと送り込む

「もう、お腹いっぱい」

「そうか、なら行くぞ」

足枷がついてるかのように足が重い
この部屋から出たらマルコさんに
お別れを言わなきゃいけない

もうマルコさんがこの島から
出ていっていますようにと願い
唇を噛み締めた

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