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明け方キッドは部屋へと戻ってきた
同じベッドにはいたくなくて
ソファで毛布に包まり寝たふりをする

「チッ」

舌打ちと共に身体が持ち上げられる

(え?)

ソファに寝かされたままに
されると思っていたのに
ベッドへと連れて行かれる

いつもと違う甘い匂い
匂いがつくぐらい
女の人と近くにいたのだろう

胸が痛い

(なんだろう、この気持ちは)

モヤモヤとした何かを
吐き出したくて目を開けると
キッドと目があってしまう

「起きてんじゃねェか」

「きゃぁっ」

ポンと乱暴にベッドへ
投げ落とされる

「おかえり、っん!」

言い終わる前に唇を塞がれ
舌が口内で暴れる

「ぁっ、んぅっ」

いつものように受け入れてしまうと
キッドの手が脱がすように
服の中に手が入ってくる

いつもワンピースを着ているので
捲りあげられればすぐに脱げてしまう

(今まで女の人といたくせに)

そう思うと気持ちが沈んでいく
その手で触れてほしくない

「ぃやっ、キッド、やだ」

服の中に侵入している手を押さえ
脱がされる前に少し距離をとる

「あ?」

「今日は、したくない」

逆らってはいけないのはわかっているけど
どうしても今日は嫌だ
部屋から出たことを今更ながら後悔する
街に行かなければ一緒にいるのを見なかったのに

「なんだと?」

低い声に苛立ちが含まれている
それでも今日は抱かれたくない

「したくない、」

「反抗的だな」

身体を離すキッドにホッと安堵する
今日はわかってくれたのかもしれない

「なにホッとした顔してんだ」

ベッドから離れたキッドが
ロープを手に戻ってくると
背中に冷たい汗が流れる

「今日は、いやって」

「うるせェ」

ベッドから逃げようと
身体を動かすが
髪の毛を引っ張られ引き戻される
この長い髪が恨めしい

「っぃ、やぁっ、」

「テメェは俺の娼婦だろ?
ご主人様の機嫌をとっても
損ねたらだめだろうが
学習しねェやつだな。
それとも今日はひどくされたかったのか?」

素早く手を縛られベッドにくくり付けられ
首輪を嵌められ力が抜けていく
海楼石が使われているらしい

「や、だっ」

キッドも能力者なのに
何故か持てていることに驚いていると

「クク、不思議そうな顔だな。
この首輪は真ん中の石の部分だけが
海楼石をはめ込まれてんだよ」

だから持てると愉しそうに笑った


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