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「身体が痛い・・・」

キッドは毎晩のように抱くが
飽きないのだろうかなんて思いながら

軋む身体で起き上がると
誰もいない部屋が見えた

目が覚めてキッドがいた事はあまりない
あたしが目覚めるのが遅いのかもしれない

そしていつもテーブルには
食事が用意されている

ベタベタの身体を綺麗にしてから
食事をとりあとは読書と
キッドが置きっぱなしの
新聞を読んで世界の事を知るというのが
あたしの日常

島に行きたいなんて二度と言わないと
昨日の情事中、心の中で誓ったのだ

食事を終え窓から外を見てみると停泊している

どうりで食事の量が多い
キラーもでかけているのだろ

キッドへのお願いはしない事にしたが
やはり島へと行きたいと思ってしまう
停泊1日目ということは
キッドは帰ってこないだろう

基本的に1日目は帰ってこないのが
今までのパターンだ

それを考えると胸がざわざわとしてしまう

プルプルと頭を振り胸のざわつきを
考えないようにして窓に触れてみると
静かに窓が開いた

「えっ?」

驚きすぎて手を引っ込めるが
窓はそのまま開いたままだ

心臓がドクドクと大きく鳴り指先が震える

最初に開かなかったから
開かないものだと思っていた

ウォーターセブンで
船の修理をした時に開けれるようになっていたのか

これはキッドは知っているのだろうか

グルグルと頭の中で疑問が回る

震える手で窓をそっと閉じた

(試されているのかもしれない)

これでこのまま外に出ていけば
キッドにわかるようになっていて
捨てられるか、殺されるかするのではないか


窓から離れベッドへ戻る
自分の居場所はソファーかベッドだ

シーツに包まり窓に背を向けた

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