87
::


「俺は女を抱くより
痛めつけるほうが好きなんだ
抱かれる方がいいなら
お願いしてみろ」

猫なで声で話しかけてくる男

鳥になった方がいいのか、
でも男達の前で変化するのは
後々厄介な事になる気がして躊躇する

「キッドの夢を笑うような人に
お願いなんてしないわ」

「生意気な女だっ」

男の拳が上がり目を瞑る

ドンっと破裂するような音
来るはずの衝撃がこない事を変に思い
目を開けると腕から血を流し蹲る男

「・・・楽しそうなことしてるじゃねェか」

地を這うような低い声

「ユースタス、キッド」

キッドの足元には同じく血を
流す男が倒れている

「ユースタス“キャプテン”キッドだ」

銃を手に引き金を引くと
正確に男の頭をつらぬく

キラーも刃を手にし
次々に切りつけていく
目の前が赤く染まる
10人ほどいた男達は
皆、床に伏せっている
確認しなくても生きていない事が見て取れた

「アリア、遅くなってすまない」

先ほどまで人を殺めていた人物とは
思えないほど優しい声のキラー

「迷子になってんじゃねェよ」

キッドに腕を強くひっぱりあげられ
身体をまじまじと見られた

「チッ、船に戻るぞ」

「そうだな」

そのまま抱き上げられ
キッドの温もりを感じる

「キッド、」

「話は船だ」

話しかけるが不機嫌なまま
遮られてしまいお礼も言えないまま
船へと連れて帰られた


船に帰るとキッドが目を光らせる中で
船医が傷の手当をしてくれた


「そんなに酷いものはありません。
3日もすれば治ります」

「・・・そうか。もう行っていい」

出ていく船医にペコリと頭を下げる

「3日で治る怪我なら
お前は1日ほどで治るな」

「キッド、助けてくれて
ありがとう・・・」

さっき言えなかったお礼を伝えると
乱暴に頭を撫でられる
その行為に目を見開くと
チッと舌打ちが聞こえた

戻ったら折檻が待っているかとおもったが
今日はとりあえずないらしい

頭を撫で終えたキッドは
無言のまま部屋を出ていってしまった




prev / next
[ back to top ]
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -