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財宝の換金、食料の調達に寄った島
小さい島ではあったが栄えていて
人もいっぱいる

キッドとキラーに連れられ
珍しく靴を履かせてもらい
自分の足で歩かせてもらっていて
新しい島はやはり珍しくて
ついついよそ見をしてしまった

ハッと我に返って前を向いた時には
もう2人の姿はなかったのだ

キッドを見つけなければと
慌てて前に進んでみるが
キッドの姿は見当たらない

「どうしよう・・・」

とりあえず歩いてみるが
いつの間にか路地裏に
来てしまったらしく
急に人が減り周りを見ると
目つきの悪い男の人達しかいなくなっていた

フードを深くかぶり直し
引き返そうとすると
男3人に道を塞がれてしまう

「あれ?お嬢ちゃん迷子かな?」

「俺達が安全な場所まで連れて行ってやるよ」

下品な笑い声と共に腕を引っ張られる

「だ、大丈夫です!!」

振り払おうとするがびくともしなかった

「おいおい、仲良くしようぜ」

そのまま口も手で塞がれ
声を出せず、路地の奥へと
引きずられていった

どこかのお店の中で縛り上げられ
店の隅に座らされている
1時間ほど経つと
連れてきた3人組とは違う小太りの男が現れ
乱暴にフードをとられ
顎を掴まれじっくりと顔を見られる
それが嫌で顔をそらすと
次は体を舐めまわすように見られた

「こいつは上玉だな
身体も申し分無しだ

・・・おい、こいつ海賊の女じゃねェか」

胸元の名前に気がついたらしい

「ユースタス“キャプテン”キッドって・・・」

1番下っ端そうな細い男の顔が青ざめていくが
周りは笑い飛ばす

「こんなとこ、探してもわからねェさ
しかし、海賊の女なんざ売っても
金にならなさそうだが・・・」

「キッドって野郎は
凶暴で有名な奴だろ?!
大丈夫なのか?
もう、逃がしちまったほうが」

「ガタガタうるせェ!」

青ざめる男は逃がそうと提案するが
小太りの男に殴られ
もう何も言わなくなってしまった

「・・・キッドっていやぁ、
ワンピースを探してるらしいじゃねェか」

「嘘だろ!?
あんな男がワンピースなんざ
夢物語を信じてるなんざ
笑わせるなよ!」

ギャハハと下品な笑い声が
店内に響く

「・・・キッドの夢を笑わないで」

「あ?」

「キッドの夢はきっと叶うわ!
貴方達みたいな人に
キッドを笑ってなんてほしくない!」

「うるせェ!!!」

「ぅっ・・・」

小太りの男にお腹を蹴りあげられ
息が出来なくなりうずくまっていると
上から男が踏みつけてきた

「おい、自分の状況わかってんのか?」

「兄貴、あまり傷つけると値が下がりますよ」

「ふん、気が変わった。
こいつにも懸賞金がかけられている。
散々いたぶった後に差し出してもいいだろ
気が強い女をいたぶるのは好きだしな
俺が終わったらお前らも好きにすればいい」

「っ!他の奴らも呼んでやろう!!
こんな上玉を抱ける機会なんて
なかなかないからな」

喜々と電伝虫でどこかに電話をかける
小太りの男がニヤつきながら話しかけてくる

「女、名前はなんだ?」

「・・・名乗るわけない」

またお腹を蹴りあげられた

「チッ、本当に生意気な女だな
嫌って、ほど泣かしてるやる」

ゾッとするほど嫌な笑みを浮かべる
負けずと睨みつけると

「ワンピースを信じてる
馬鹿な男の事でも思っていればいいだろ」

下品に笑うこの男に
苛立ちを覚え下唇を噛んだ

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