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「入れ」

キッドの一言で入ってきたのはキラーだった

「アリアの服だ」

キッドはキラーから袋を受け取り
それを投げて寄越した

「着てこい」

「わかった」

袋の中には服が入っていて
それを浴室で着替える

今まで与えられた服は
露出を極力控えたものだったが
今日の服は胸元が開いた半袖のワンピースだった
胸の部分はピッタリとしていて
中身が見える事はないが
谷間と刺青はしっかりと見える
その他の部分はわりとゆったりしていて
スカートはくるぶしまでの長さだった

浴室から出るとキッドとキラーは
ソファーに座って話をしているようだった
邪魔はしたくないが恐る恐る声をかける


「キッド、」

キッドがこちらを見ると満足そうに口角を上げ
キラーはため息をついた

「キッド、お前は・・・」

「アリア来い」

キラーの声を遮るように名前を呼ばれ
キッドに近寄ると膝の上と乗せられる

だんだんとわかってきたが
キッドが膝に乗せる時は
機嫌がいい時らしい

「そんなものを彫ったら
海賊だと言うようなものだ」

「それがどうした?コイツは俺のモンだ。
海賊と言ってもなんらおかしかねェだろ」

キッドは長い腕を伸ばし
テーブルの上にある苺を手に取り
あたしの口へと運ぶ

それを食べるのを満足そうな顔で見ていた

「・・・で、今日は連れて行くのか?」

「そうだ」

「今からはまだ時間があるが・・・」

今日は皆とのご飯に連れて行ってくれるらしい
会話の間もずっと飲み物や食べ物を
口へと運んでくれるキッドのせいで
何も喋れずにただ2人の
会話を聞いているしかできない

「あァ、コイツの服でも見に行く」

「・・・俺も同行しよう」

何かを察したのか同行を
申し出てくれてホッとする

「腹はいっぱいになったか?」

こくりと頷けばソファーにかけてあった
ローブを羽織らされ抱きかかえられた


ウォーターセブンは想像していたよりも
活気に溢れていた

キッドにバレないようにこっそりと
周りを見渡すのも楽しい

キッドの選ぶ服は
刺青が見えるようにと
胸元が開いたものばかり選ぶ
それでもその部分以外は
見えないようにと長い
スカートのものばかりだった

お店の人が勧める服など
見向きもせずに
自ら選ぶキッドを見てキラーは
より一層深い溜息をついていた

「キラー、付き合わしてごめんね・・・?」

「あァ、それは全然構わないが
アリアへの執着に呆れてしまうな
よほど大切らしい」

刺青を彫ったのに
乱暴に抱くのに
大切にされているのだろうか

それを問おうとした時には
キッドは会計を終え戻ってきた

「・・・何話してんだ」

「キッドのアリアへの溺愛ぶりが
酷いと言っていただけだ」

苦笑しながら話すキラーを睨み
伸ばされる腕に身体が強ばるが
殴られるのではという予想に反して
優しく抱え上げられた

どこか今までと違う気がする

それが何かまではわからないが
心地の良さを感じた


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