大参謀と少女
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「ここが嬢ちゃんの部屋だから」

ドアを開けられ部屋の中に入る
そこに閉じ込められるのは目に見えている

「あたしはいつ出られるんですか?」

「ん〜上の命令だからね
部屋にはバスルームもトイレもあるから
不自由はないだろうが
何かあれば外の海兵に言えばいい」

そう言って出ていくクザンさん
部屋の扉には鍵がかけられた音がした

はぁ、と深いため息がもれる
なんとかして次の発情期までには
ここを出なければいけない
身を守る首輪も何もないのだから

部屋を見渡すと本棚があり
本がぎっしり並べられていた
図鑑や歴史ジャンルはバラバラだが
いろいろな本がある

1冊手に取り広げてみると
英語なので読むことが出来る

泣いているばかりではダメだ
この世界で生きていける知識を身につけよう
そして強くなって絶対に
親父さまの元へ戻ると誓った



毎日決まった時間に出される食事と行われる尋問。
同じ質問に否定を返すだけ。

空いた時間は部屋にある本をひたすら読んでいた。
数日経つといつもと違うことが起きた。

外から慌てる声とばんっといきなり開けらるドア


「全く!女の子を閉じ込めて何やってんだい!」

年を重ねているが若い頃は
相当な美人だったに違いない
白髪を一つに纏めた女性が入ってきた

「アンタがアリアだね」

怒鳴りながら入ってきた時とは違い
優しく話しかける

「は、はい」

「あたしゃおつるだ。
部屋に引きこもりっぱなしじゃ
気が滅入ってしまう。
散歩でもいこうかねェ」

窓辺にある椅子に座っていたあたしに
手を差し出してくれた

その手をとると温かくて
久しぶりに感じる人の温もりに
少し涙が出そうになった

「おつる中将!勝手に連れていかれては・・・」

この女性は勝手をしても許される身分なのか
海兵はあわあわと慌てている

「うるさいねェ。
センゴクには後で報告しておくよ。」

まだ何か言ってる海兵達を無視して
あたしの手を握りどんどんと進んでいく

連れてこられたのは中庭らしい
おつるさんがベンチに腰掛けたのをみて
その隣にちょこんと座った

「全く、こんな年頃の女の子に
白いワンピースしか渡さないあげくに
部屋にひきこもらせるなんて
男はダメだねェ」

「いえ、大丈夫です。
あの部屋には本も沢山ありますし・・・」

「それでも部屋にこもってるのは
身体に良くない。
何か欲しいものはないかい?」

「それなら・・・首輪が欲しいです。」

「首輪?ネックレスじゃなくてかい?」

「はい、頑丈なものが欲しいです。」

「・・・わかった。用意させるよ。」

「ありがとうございます」

「何か事情があるんだろうが
話す気にはなれないかい?」

「・・・何もないです」

高い所にある中庭は嫌でも海が見える
しばらく海を眺めながら
おつるさんがいろいろな話を聞かせてくれる
海軍の話や海賊の話を面白おかしく聞かせてくれる

すると船が港に入って行くのが見えた

「・・・いつもは来ないくせに
こんな時に来るなんてねェ」

おつるさんを見ると眉間に
シワを寄せため息をついた

「どうかしましたか?」

「七武海の連中が来るんだが
やっかいな奴が一番に来た
少しの時間で申し訳ないが
部屋に戻るよ」

「は、はい!」

おつるさんの早歩きに
小走りでついていく

部屋に戻ると見張りの海兵は
ホッとした顔をしていた

「また来るからね」と
笑顔で部屋から出ていく
おつるさんを見送る

次の日におつるさんから
プレゼントととして届いた
頑丈そうなのに軽い鉄の首輪が届いた

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