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部屋に1人残され暗い部屋に不安になる
シーツを身体に巻き付け
ドアや窓を開こうとするが開かなかった
ルッチはどうやって入ってきたのか

深いため息をつきとりあえずはと
シャワーを浴びた

お湯が傷にかかるとヒリヒリするが
もうさすがに慣れてきた

お風呂場は広く綺麗で豪華だったが
シャワーで済ませ
備え付けのタオルを巻いて部屋に戻る

「キッド・・・」

誰もいない部屋に呟いてみる
ローがいっていた
ストックホルム症候群とは何か

その言葉の意味を知らないが
薄々気がついてはいる
暴力をふるわれめちゃくちゃに抱かれて
最初は嫌で嫌で仕方なかったのに
たまに優しくされる所や気遣ってくれる所がある
それがたまらなく嬉しいのだ
籠の中の鳥は外では生きていけない
まさに自分がそれなのかもしれない




ざわざわと男達の声と女の声がまじる店で酒を煽る


「アリアは?」

キラーの問いかけに酒だけを見て答える

「・・・置いてきた」

「何も言わずにか?」

「俺がキラー達と飯に行くことぐらいわかんだろ」

「連れてきてやったら
喜ぶんじゃないのか?」

「クク、この前みてェに
店一つ潰さなきゃいけなるくなるぞ」

両隣の女がもたれかかって来るのが鬱陶しい

「キラー、俺は女はいらねェ」

「キッド、お前はそうかもしれないが
他の奴らはそうじゃない」

「チッ」

はみ出しそうな豊満な胸を見るが
特に何も感じるものはなかった

「お頭さん、今夜どう?」

「もうっ、私と過しましょう?」

争い出した女を睨みつけ

「黙って酒をつげ」

女達は大人しくなった
ふと見ると片方の女の項に
文字が彫られているのを見る
そこ箇所に触れる

「これはなんだ?」

「あん、これ?
あぁ、昔の男の名前よ
若気の至りってやつね。
早く消したいわ」

項を触られクスクスと笑う女

名前、か

ニヤリと笑う


「痛いか?」

「そりゃぁ多少は、ね
でもこれくらい全然よ。
好きだったし耐えられたわ。
この街の彫師は女性で腕がいいの」


「ほぅ、詳しく聞かせろ」

そこからその女に話を聞き
もう片方の女はいつの間にか
どこかに行っていたが
そんなことはどうでもよかった



「情報料だ」

金を渡すと女は嬉しそうに擦り寄ってくる
それを引き剥がしキラーに視線を送り
ホテルに戻るために店を出た

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