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部屋の扉が閉まる音で意識が
現実の世界へと戻ってくる

そういえばキッドはキラー達と
食事に行く様子だった
出かけたのだろう

ぼーっとする頭に重たい体
情事後で身体がベタついているが
到底起き上がる気にはなれない

しばらくは目をつぶったまま過ごそうと決めた


どれくらい時が経ったのか
キィと小さく何かが開く音と共に
ベッドの方へ何者かが近づいてくる気配がした

寝返りをうつように
シーツにくるまり鳥へと変わる
ドキドキと心臓の音が耳元で聞こえるようだ

「アリア」

シーツをそっと捲られる
鳥のまま侵入者の姿を確認する
白いタンクトップを着て
シルクハットを被っている
それは朝にローの所から
助け出してくれたルッチだった

「半信半疑だったが本当に
鳥になれるのか」

鳩は連れておらず自らの声で話す
キッドとは違う優しい手付きで
人間でいう腰の辺りを撫でられ
それが擽ったくて身をよじる

「それを確かめにきただけだ
依頼主が女と鳥を探せと言っていたからな」

依頼主とはキッドの事だろう
人間の姿と鳥の姿であたしを
探すように依頼したらしい

ずっと鳥の姿でいたいが
キッドに抱かれた後で体力が残っておらず
自分の意志とは関係なしに
人間へと戻ってしまう

「ほう、いい眺めだ」

裸体である事に気が付き
シーツを身体に巻き付ける

「確認は済んだでしょ?帰って。
キッドが帰ってきたら酷い事になる」

「それはお前がか?俺がか?」

「・・・どっちも」

「ふん、俺があんな奴に負けるわけがない」

自信があるのだろうか
馬鹿にしたように鼻で笑う

「そう、じゃぁあたしが
酷い目にあうから帰って」

「あの男はしばらく帰ってこない
仲間と一緒に店に入っていったからな
お前は置いてかれたのか」

「・・・そうよ」

「あの男はお前を玩具ぐらいにしか
思っていないだろう
それでも帰ってきてよかったと言うのか?」

「あたしがそう望んだの」

「クク、残念な女だな」

シーツを無理矢理剥ぎ取られ
身体を見られ舌なめずりをされる

「美味そうな身体だ
あの男が離したくなくなるわけだ」

「見ない、で」

手で胸を隠すがすかさず
ルッチに腕を持たれ頭の上で拘束される

「今ならまだお前を海軍に渡し
ここから出してやれる」

「っ、いや、あたしはここにいる」

「海賊にいるだけで
懸賞金をかけられ命を狙われ
海軍にも追いかけられるぞ?
弱いお前などすぐに死ぬ」

「それでもいい」

「ふん、強情な女だな
お前に懸賞金がかかれば
ドフラミンゴも見つけやすくなるな」

「な、」

「ドフラミンゴがお前を
探しているのは本当の話だ
見つけたと報告してやろうか?」

意地悪そうに口角を上げる

「やめて、ドフラミンゴに知らせないで!」

「クク、嫌でもそのうち見つかるだろうがな」

腕の拘束が緩められ
ルッチが離れていく
すぐにシーツを手繰り寄せ巻き付ける

「他の男の臭いがする女など興味はない

飼い主にも殺されないように
せいぜい生き延びるんだな」


入ってきた窓からルッチが出ていくまで
目が離せずにいた

出ていったことでやっと緊張が解け
体の力が抜ける

海賊に身を置くことの
恐ろしさはわかっているつもりだが
弱い自分は本当にすぐに死ぬかもしれない

強くなりたい

静かにそう決意した

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