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「アリア、その顔で咥えこんだ男は
何人だ?ドフラミンゴとも寝たのか?」

顎を持ったまま唇が
触れそうなほどの距離で囁かれる

「っ、キッドだけ!」

近付いてくるローの身体を押しのけようと
抵抗するが細そうに見えて
がっちりとしている身体をどかすのは
無理があった

「そうやってユースタス屋にも
抵抗したのか?」

ローの手がツナギのジッパーを
下ろしてゆく

「やめ、てっ」

「そうやって抵抗するのは
男を煽る材料にしかならねェぞ
俺達は今日ここを出る
お前も来い」

「いやっ」

ローの手を払い除け
窓の方へと走る

「ドフラミンゴはローが
逃げたと言ってた
あたしを餌にドフラミンゴに
何かする気でしょ?」

ドフラミンゴが話していた
内容を少し思い出した

「オペオペの実を盗まれたと言ってた」

その話をするとピクリと
ローの身体が反応した気がする

「お前は本当に何も知らねェな
アイツの本当の姿を見せてやるよ」

ローが近付いてくるがギリギリまで
開かない窓へと身を寄せる

パンという音ともにガラスが割れる

「見つけたっポー」

昨日の夜中に見た鳩を肩に乗せた男が
無表情のまま窓から入ってくる

「お前はガレーラの奴じゃねェか
何の真似だ?」

「トラファルガー・ローお前の船は
もう出発できるっポー!
この女は客が探していたから
返してもらうっポー!」

鳩を肩に乗せた男は
しっかりとあたしを抱きかかえ
窓から出ようとする

「まぁ、いい。
いずれ迎えに行く」

吐き捨てるように言う台詞
あ、と思い出して

「ロー、ベポによろしくねっ」

と伝え窓から飛び降りる男の腕に
しっかりと掴まった
飛び降りた後は屋根の上を
飛ぶように走っていく

「オレはルッ・・・ハットリだ!
こっちがガレーラカンパニーの
1番ドック木びき・木釘職職長のルッチ
お前の主人が探していたぞ」

「ありがとう・・・」

まるで鳩が喋るように話すのが
不思議でならない

「おぉ!ルッチのが先じゃったか!」

「カクは遅いっポー」

この速いスピードにまるで
散歩のように平然と隣に並ぶ

「おぉ!この子が探してた女子か!
確かに美しい女子じゃな!」

「急に話しかけたら怯えるっポー」

「すまんすまん!
ワシは1番ドック大工職職長のカクじゃ!
お主の主人の船を造ってる最中じゃ!」

今度は特殊な喋り方をする長い鼻の男性
何が何だかわからないまま
喋り続けるカクに頷くしかなかった

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