僕の隣を居場所にして
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「・・・何してんだよい」

行ってしまったかと思ったのに
しっかりと見つかってしまった
約1週間ぶりのマルコさん

「あ、の」

「少し話すかい」

「・・・はい、ならあたしの部屋にでも」

「なにか軽食を持って行くよい」

話さない方がいいなんて思っていたのに
本人を目の前にするとそんな気持ちは
どこかに消えてしまう

「・・・待ってます」

そこで一旦別れて部屋へと向かった
自分も久しぶりに入る部屋は
あまり使っていないのがわかるくらい
物がなくて生活感がない
窓を開け空気を入れ替える

何を話したらいいのか

考えが纏まる前に部屋にノックの音が響く

「はい!」

少し驚いて声に力が入ってしまった

「入るよい」

食事と飲み物を手に持ち部屋に入ってくる
それだけの事なのに目が離せない

「サッチに言って作ってもらったよい」

窓の近くにある小さなテーブルに
食事を置き椅子に腰掛けるマルコさん

「ありがとうございます・・・」

久しぶりに仕事をして
お腹が空いてしまったあたしは
すぐに食べてしまう

「腹減ってたんならもっと
持ってくればよかったよい
そんな美味そうに食ったのみたら
サッチが大喜びするねい」

「お腹空いてて・・・すみません」

「別に謝ることないよい
・・・この前は悪かった」

この前?その言葉にハテナを浮かべるが
発情期時の事だと分かり顔が火照る
醜態を晒してしまったのだ

否定するようにぶんぶんと首を振る

「あ、れはあたしのせいで
マルコさんは悪くないです!」

少し間があり何を言ったらいいか
わからないあたしは
マルコさんが持って来てくれた
お茶を喉へ流し込む

「・・・運命の番ってのは
なにか教えてくれるかい?」


『運命の番がマルコさんだと思う
けど、怖いの』

この台詞を言ってしまった自分を叱りたい

言われた方はなにかわからないだろうし
自分ですら本当にそうかもわからないのに
説明なんてできるのか

「運命の番は魂の番とも言われてるんです
魂で惹かれ合う存在
本当にそんなケースは稀で
噂扱いなぐらいですけど」

「それをオレだと
思ったってことかよい?」

運命の番は相思相愛になると言われている
マルコさんがそうだと決まったわけじゃないのに
これでは自惚れもいいところだし
告白したも同然だ

「あの時は発情期でちょっと
情緒不安定になってただけで・・・
気にしないでください」

恥ずかしさのあまり
マルコさんの顔が見れない
俯いているとマルコさんが
立ち上がりあたしの前に来て
膝をついて手を握る

「魂で感じるんなら
オレもそう思ったって言ったら
信じてくれるかよい」

「え?」

今の言葉が聞こえていたのに
頭が追いつかず聞き返し
顔を上げると目の前には
真剣な顔をしたマルコさんがいた

「オレもお前を初めて見た時に
今までとは違う何かを感じたって
言ったら信じてくれるかよい」

ドクドクと心臓が脈打つ

「あ、のっでも、あたしエースと」

あたしはエースと身体を繋げている
手放しで喜べる状況ではないのだ

その先は言わせまいとするように唇が重なった

角度を変えてキスをする
下にいたはずのマルコさんが
いつの間にか椅子の背もたれに手を置き
もう片方の手であたしの頭を支え
上からキスを浴びせられる

「ん、ぅ」

キスだけで蕩けてしまいそうになるほど
気持ちがいい

やっと口付けが終わり
マルコさんが離れる頃には
肩で息をするくらいに
息切れしていた

「お前を奪っちまいたいけど
エースは大事な家族だからねい
それでも、」

その先の台詞を聞く前に部屋の扉が
勢いよく開いた

「アリアー!!!
ってうわ!マルコも!」

勢いよく入ってきたのは
仕事が終わったエース

少し距離の近いあたしとマルコさんの
間に割って入りあたしを抱きしめた

「アリアに変なことしてねェだろーな!?」

「嫌がる事は何にもしてねェよい」

手を上にあげ降参のポーズをとるように
距離をとった

「オレは行くよい、アリアまたな」

「あ、はいっ」

言葉の続きは何かと聞きたかったが
エースの前で聞くのは何故か気が引けて
はいと答えるしか出来なかった

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