声と声の隙間に
::


まだ薄暗い部屋の中
目が覚めてしまい起き上がり
エースの寝顔をみて安堵する
あたしより先に起きているエース
寝ていないんじゃないかと
心配していたのだ
膝を立て自分の膝に頭をのせ考え込む


やっと発情期が終わる
霧の中にいたような思考が
だんだんとクリアになってきた

約1週間この部屋から出ていない
親父さまとお話をするという
勤めも果たせていないのだ

運命の番なんて口走ってしまった
マルコさんにもちゃんと謝ろう
困惑しているはずだ
でも、もう話さない方がいいかもしれない

「アリア起きたのか?」

「エース発情期終わった」

「んー、そうか」

まだ寝ぼけているのだろう
あたしの腰に手を回し
シーツの中へと引っ張り
抱き枕になる

「アリアー眠ぃ・・・」

「うん。まだ寝よう」


あたしの胸に顔を埋めるエースを
子どもをあやす様に頭を撫でた


もう1度目を覚ました時には
すっかり明るくなっていた
シャワーを浴びて髪の毛を纏め
ジーパンとTシャツに着替え
エース起こす

「エース、あたし
親父さまの所に行ってくる」

「・・・もう行くのか?」

眠たそうに目をこすり
こちらを見る

「うん。それから洗濯の
お手伝いしてくるから
エースはエースのお仕事してね!」

額にキスを1回して部屋を後にした


すれ違う人に挨拶をしながら
親父さまの部屋

トントンと小さくノックすれば
ナースが顔を出す

「あら!アリア!
もう大丈夫なの?」

親父さまの部屋に通う様になり
ナースさんとも仲良くなってきた

「はい!親父さまは起きてますか?」


「えぇ、どうぞ」

部屋の中で親父さまの前に駆けてゆき
頭を下げる

「親父さま!おはようございます!
お休みしていてすみません。」

「グララララ!やっと来やがった!
もう具合はいいのか?」

「はい」


そこから親父さまの膝の上で
朝食をもらいお喋りをして
また明日とサヨナラをしてから
洗濯室へと向かう

「お、アリアじゃねェか
具合はもう大丈夫なのか?」

「イゾウさん!大丈夫ですよー!
洗濯物ありますか?今から洗濯するんです!」

「それなら後で持っていく
無理はすんなよ」

イゾウさんに頭を撫でられ
元気をもらい仕事場へと向かう

大所帯のこの船の洗濯も
大変で洗濯機がないので
手洗いなのだ

それでも元の世界で
手洗いするものもあったので慣れたものだ

今日の洗濯係は12番隊らしい
いつものように王子様のような格好をした
ハルタさんがいた

「あ、アリア」

ハルタさんのその一言で
一生懸命洗濯をしていた
人達がみんなこちらを向く

「あたしも、お手伝いします!」

「「アリアちゃーん!!!」」

ペコリとお辞儀をすれば
雄叫びのような声が洗濯室に響く

「お前らうるさいよ!
アリア〜
僕のやってくれない?
手が痛くてさ・・・」

可愛くおねだりするハルタさんは
とても愛らしく断ることができない

「わかりました!」

「ハルタ隊長ずりぃ!!」

「べー」

あたしの洗濯の様子を
じーっと横で見ているハルタさん
なんだかくすぐったく感じてしまう

「ハルタさん、あまり見ないでください」

「なんで?美しいモノを見ておきたいのは
皆そうだろう?ましてや久しぶりに見れたんだ
焼き付けとかなきゃね」

なんて返しくるので恥ずかしくなってしまう

何も言い返せずに洗濯していふと
頬を指でつつかれ「可愛い」なんて
言われてしまう始末

あたしは弄られるキャラなのかもしれない


一通り洗うのが終わり次は
干しに行くという時に
「じゃ、後は任せて」
重たい洗濯カゴを易々と持ちあげる

「え、あたしもします!」

「病み上がりなんでしょ?
洗ってもらったから次は僕が干すよ
じゃぁまたね」

「ありがとうございます!」
と背中に声をかけると
ヒラヒラと手を振って行ってしまった

本当にこの船は優しい人ばかりた

後片付けをしていると声をかけられた


「あら、発情期とかいうの終わったの?」

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