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ベポと向き合うように抱っこされ
ワンピースを捲られる
ギュッとベポを抱きしめると
よしよしと頭を撫でてくれた

「キャプテンはお医者さんなんだ!
だから大丈夫だよ!」

ひやりと冷たいものが背中に押し当てられる
それと当時にピリピリとした痛みが
背中に広がっていく
ツンとするこの臭いは消毒液だ

「お前のご主人様は随分と暴力的だな
海賊にでも飼われてんのか?
まァこれぐらいならすぐ治る」

消毒が終わると後ろのファスナーを
ベポが上げてくれた

「ね!大丈夫だったでしょ?!
果物持ってきたんだ!食べれる?」

器用に皮をむきはいっと渡された果物を
恐る恐る受け取り口に含むと
甘酸っぱさが口に広がる

「・・・おいしい」

「でしょ!!これオレンジっていうんだよ!
まだあるよ!」

1粒1粒渡してくれるベポは
世話焼きらしい

「おい女、お前がいる海賊の名は?」

「・・・キッド」

「ユースタス屋か」

トラファルガーがククっと愉しそうに笑う

「あの男が女を囲うなんざ
面白ェな」

顎を掬い上げられ顔まじまじと見られる

「・・・確かに整った顔してるな
クク、ユースタス屋のかわりに
俺が飼ってやろうか?」

「・・・いらない」

キッドとはまた少し違う怖さがある

「ベポ、ペンギンとシャチと
コイツに服でも買ってきてやれ」

「や、いらない」

ベポと離れてしまうのが
今は少し怖い

そんなあたしの気持ちとは反対に
ベポはやる気満々らしいく

「アリアに似合う服買ってきてやる!」

と嬉しそうに出て行ってしまった

すぐ隣にトラファルガーが座り
出来るだけ離れようとソファーの端に座る

「そんな警戒すんな
さっきのは遊びだ」

さっきのとはベポが部屋に
入ってくる前のことの事だろうか
なんだか沈黙が嫌で話をしてしまう

「あたし、あなたの写真を
見せて貰ったことがあるの」

「ほう、そいつは誰だ?」

「ドフラミンゴ」

その名を口にすると
急に部屋の温度が下がったように感じた
トラファルガーを見ると
眉間に皺を寄せ睨むように
こちらを見ていた
ドフラミンゴの名前を
出したのは間違いだったのか

「ドフラミンゴだと?」

「う、ん」

「お前が飼われてんのは
ユースタス屋じゃねェのか?
何故そこにそいつの名が出てくる」

「あ、のっ」

「答えろ」

やはりドフラミンゴの名前を出したのは
間違いだったようだ

あたしはあまりドフラミンゴの事は
知らないのに
世間では有名なのか

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