63
::


「頭〜!W7に着きました!!」

「すぐに行く」

近いような遠いような会話

昨日あれからご飯もベットの上で食べさせられた
食事を終えるとすぐにシーツの中へと
引きずり込まれた


きっと身体は傷だらけだ

意識がまだぼーっとする
さっぱりとした体に服を着せられ
首には首輪が付けられているだろう
包まれるのはきっといつものローブ

起きろと言われていないから
まだ寝ていていいのだろうか

睡魔が足先からじわじわと迫ってくるように
どんどん身体から力が抜けていき
気がつけば意識も手放していた





「ん、?」

「あ!起きた!」

目を開けた時には何故か
目の前に白熊

「っ!」

驚いて声を出せないでいるが
熊はお構い無しに話す

「なんであんな所で寝てたの?」

あんな所?
そういえばここはどこなのか
周りを見渡すと
どこかの路地裏のようだった

「ここは・・・?」

「ここはW7!
ガレーラカンパニーの
木材の所に転がってて
危ないからここまで連れてきた!」

ニコニコとする白熊は
悪意でここにあたしを
連れてきたのではないらしい

「あたしはアリア。
あなた?」

「オレはベポ!」

「あたし戻らなきゃ・・・
飼い主に怒られる」

そっとベポの膝の上から降りる

「!?
お前奴隷なのか?!」

「違うけど・・・
あ、でも似たようなものかも?
首輪ついてるし」

ベポという名の白熊は
オレンジ色のツナギを着ている
胸には見た事のあるマーク

これは・・・?

「ベポ!!」

聞こうとした時に路地の入口の法から
ベポの名前を呼ぶ声

「あ!キャプテーン!!」

あたしを置いて行ってくれればいいのに
そのまま抱きかかえられ連れていかれる

そっと鳥へと姿を変える

「何してんだ。行くぞ」

「アリアと話してたんだ!」

ばっと出されると目の前に
帽子を被った3人の男

「おいおいーお前は鳥と話せるのか?」

キャスケットを被った男が
からかうようにベポを見る

「何言ってんの?シャチ。
アリアは女の子だよ?
ってええぇ!!!」

驚いて大きな口を開けるベポ

「それにコイツ首輪してるだろ
飼い鳥だ。返してこい」

ペンギンと書かれた帽子を被る男が
宥めるように答える

「違うよ!さっきまで女の子だったんだよ!」

慌てているベポには悪いが
あまり姿を晒して
キッドに怒れるのは嫌なのだ
この状況だって絶対に怒られる

「・・・一旦連れてくぞ」

フワフワの帽子を被る
目のクマが濃い男が
残酷な宣言をする

「え!いいんですか?!」

「わーい!この子本当に女の子だったんだ!」

喜ぶベポの腕の中で
これからの事とキッドの事を思うと
泣きそうになっていた


prev / next
[ back to top ]
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -