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暖かい
ふわふわとした意識

「ん、」

ぼーっとした頭で辺りを見渡す
甲板にいたはずが部屋に戻っている
そしてすっかり昼のようだった


「起きたか」

横見ると上半身裸のキッドがだるそうに
起き上がる

鍛えられた肉体に思わず目をそらしてしまう

「キッドが運んでくれたの?
重かったでしょ……ありがとう」

「ふん、お前の体重なんざ重くも何ともねェよ」

欠伸をして頭をかきながらベットから降りる
それについて行くようにあたしもベットから降りた

ソファーに座っていると
キッドが部屋の入口にあった
食事を持ってくる

新聞を読むキッドの横で
あたしも静かに食事をした

食事を終え
身支度をするために
洗面台へと向かう

髪をとき顔を洗い歯を磨く

そのまま
船の人たちに
貰った本を読むために
ソファーに戻る

本は海賊の冒険の物語だった

読み進めていると
キッドに「おい」と話しかけられる
本を起きキッドを見ると
背もたれに手をかけ
こちらを見ていた
新聞はもう読み終えたらしい

「お前は夢とかあんのか?」

「夢?」

「何がしたいとかねェのか?」

そんな事聞かれたのは初めてだ
自分の将来の事なんか考えた事もなかった
毎日生きるのに必死で
買われていく日々

そして今はキッドの横にいる

「・・・考えたことない
キッドはあるの?」

「・・・俺はゴール・D・ロジャーが
この世の果てに隠した秘宝
『ワンピ−ス』を手に入れて海賊王になる」

その名前とワンピースに聞き覚えがあった
海賊の多くはワンピースを探し求めていると言う
『フッフッフ、
そわなものが本当に
あるかわかんねェがな』と楽しそうに
ドフラミンゴが話していた

物語なんかじゃなく
本当にそれを探して
キッドはこの広い海に出ているのだ

「・・・お前も笑うか?」

ぶんぶん音がしそうなくらいに
首をふり興奮気味に言う

「すごい!キッド!!
あたしは夢なんか持ったことがないけど・・・
キッドなら海賊王になれるよ!!」

吃驚したようにこちらを見る

「っごめんなさい」

はしゃぎすぎるのがあたしの悪い所だ

「こい」

そう促され怖々キッドの膝に座と
ぐっと乱暴に顎を上に向かされる

「俺は今までそんなことを言うと
笑われてきた。」

「そんな、ひどい」

「お前に見せてやるよ
俺が海賊王になる所を」

どういう事?と聞く前に塞がれる唇

今度はソファーへと押し倒される

快楽を与えられる中で
「笑った奴は皆殺しにしてきたがな」
と聞こえた気がした


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