この気持ちに名前をつけて
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親父さまの膝の上に乗せられて
甲板を見渡すのは遠くまで良く見えた

「親父さまはお酒が好きなの?」

「グララララ!そうだ!
身体のためにはやめろと言われるが
止められねェなァ!
美味いぞアリアも飲むか?」

「うーん。あたしの国では
20歳超えるまでは飲んじゃダメなの」

「ここにはそんな決まりはねェ!
飲んでみろ!」

親父さま専用の大きな盃に
少しだけお酒を入れてもらう
もちろんそんな大きな盃を持つ力なんかないので
親父さまに持ってもらう

ゴクリと初めてのお酒を飲む
喉が熱くなったがあまり美味しくはない
ケホケホと咳き込んでいると
大きな手が背中を撫でる

「親父さま
あたしにはまだお酒は早いみたい・・・」

「グララララ!まだお子さまだなァ!」

それから親父さまは上機嫌に
お酒を飲んでいく
あたしのために食事を取ってくれたりと
気にかけてくれた

「親父!そろそろアリア返してくれよ!」

どれぐらい時間が経ったのかわからないが
エースが迎えに来る

「グララララ!うるせェ息子だ!
アリア明日の夕方にでも
部屋に来い!話をしようじゃねェか」

「はい!親父さま!」

ゆっくりと床に下ろされる

「アリア向こうに美味いもん取ってあるぞ!」

手を掴み走りだそうとするエースに
ついていこうとするが足が絡まり転けそうになる

「大丈夫か?」

「さっき少しお酒をもらったの。
じっとしてたから分からなかったけど
少しお酒が回ってるみたい」

「じゃぁ、持ってきてやるから
ここで待ってろ」

「ん、ありがとう」

ゆっくりと甲板の端の方に連れて行ってくれる
夜風がお酒で火照った体に気持ちいい

「アリア少しいいか?」

エースの声じゃない
これは

「マルコさん・・・」

ゆっくりと隣に座る
昼間にしたキスを思い出す
ここでは挨拶なのに意識するのは
おかしいかもしれない

「昼間は悪かったよい」

「あたしこそびっくりしてしまって
突き飛ばしたりしてすみません・・・」

「アリアは挨拶って言ってたけど
キスのことかよい?」

「あ、はい。
エースが教えてくれたんです。
この世界はキスが挨拶だって」

ふふっと笑うとマルコさんは
何故か眉間に眉を寄せていた

変なこと言ったのかなと
恥しくなり無意識に首の後ろを触ってしまった

「っぃた」

消えてしまいそうなほど
小さな声で呟いたはずなのに
マルコさんには聞こえてしまったらしい

「どうした?」

「なんでもないです!」

「どっか痛てェのかよい?」

その時びゅっと風がふいて
髪の毛がなびいて項が見えてしまう
まずい!と思い押さえた時には
もうマルコさんに見えてしまっていた

「それ、」

「あ、のコレは悪ふざけで、
番とかにはなってません!」

番になってないとかなってるとか
マルコさんには関係ない話なのに
何故か誤解されたくないと思ってしまい
否定してしまった

「そうかい」

マルコさんはどうでも良さそうに答える
それでも眉間の皺がなくなりほっとする

「アリア!」

エースがドタバタと山盛りの食事を持ってくる

「マルコ!マルコも食うか?」

ドンっと置くと山盛りの食事は迫力があった

「オレはいいよい。
イゾウの所にでも行ってくるよい」

「お、またな!
アリアこれ美味いぞ!」

エースに相槌をうちながら
去っていくマルコさんの背中を見送った

もっとマルコさんのことが
知りたいと思ってしまうこの気持ちの
名前はなんなのか

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