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「起きろ」

乱暴に起こされるのも慣れるものだ

「ん・・・」

「宴の準備ができた。
夜は冷えるからローブ着てろ。
行くぞ」

さっと起き上がり
ローブを羽織り靴を履いた

「キッド」

「あ?」

「他の人とは喋っちゃだめなの?」

「・・・あんま喋んなよ」

「わかった」

あんまりとはどれくらいか
挨拶はしていいのだろう
あまりキッドを怒らせないようにしないと

靴を履かしてもらえるということは
自分で歩いてもいいという事だ

部屋からさっさっと出ていくキッドに
置いて行かれないように足早に付いていくと
甲板に続く扉を出ると
「アリアちゃーん!!」と大きな歓声に
びくりとして思わずキッドの後ろに隠れて
キッドが着ているコートを掴む

「くそー!頭ばっかりずりい!!」
「アリアちゃんこっちおいでよー!」

声をかけてくれる人達に会釈をしながら
キッドについて行くと
キラーと不思議な格好をしている人達の
ところについた

「アリア、
水色の髪がヒートでこっちのマントを
着ているのがワイヤーだ」

「よろしく、お願いします」

ペコリと頭を下げれば
2人も返してくれる
悪い人たちではないらしい。

ヒートさんは水色の長い髪の毛で
なんだかお人形さんみたいだ。
ワイヤーさんは網タイツで
2人とも本当に不思議だ。

「いつまで立ってんださっさっと座れ」

キッドに促さられ横にちょこんとすわると
目の前に食べ物と飲み物が運ばれてくる

「コイツには酒飲ますなよ」

あたしの目の前に出されたものの
匂いをかぎ言い放つと
何種類かあった飲み物はすぐに下げられ
オレンジジュースが出てきた

キッドからOKをもらい
手に持つとその瞬間に
「アリアちゃんの歓迎会だぁぁぁ!!!」
「うぉーー!!」
と雄叫びがあがる

これは歓迎されているのか
こんな何もできない女なのに

「キッド」

「あ?」

「ありがとう」

「・・・ふん、
お前ガリガリすぎるから食え」

そっぽを向いたまま料理の乗ったお皿を
目の前に差し出された

美味しい料理をモグモグと食べていく

「んー美味しい!」

気がつくと周りの皆に見られていてた
ニヤニヤとしているのは何故だろう

「お前ら見てんじゃねェ!!」

キッドの怒号とともに逃げてくように
散り散りになっていた

「チッ」

盛大な舌打ちにびくりとして
キラーを見ると仮面の上から
額に手を起きはぁーと溜息を吐く
ヒートさんとワイヤーさんにいたっては
顔を隠すように後ろを向き肩を震わせる

「どうしたの・・・ん、」

キッドの舌があたしの口についていた
ソースを舐める
その行為に頬が熱くなる

「なんでもねェ」

グイッと持ち上げられ
座らされたのはキッドの
足の間でフードも深く被らされた




◇◇◇◇◇

歓迎会なんて許すんじゃなかったと苛立つ
女に飢えた野郎共はアリアの行動一つ一つが
気になるらしく飯を食う姿も盗み見ていた

アリアの食べ方は甲板での宴のはずなのに
どこか上品で何故かエロい

盗み見ていた奴らがもうお構い無しに
食い入るように見ていた

食べ終えたアリアは余程美味しかったのか
満面の笑みだった

花が咲くように笑う
そんな笑顔は俺の前ではしない

そう考えると苛立ちで
「お前ら見てんじゃねェ!!」
怒鳴るとアリアを見るやつはいなくなる

口元についたソースを舐め取ると
こんな行為何度もしたはずなのに
顔を赤らめるアリアにもっと触れて
めちゃくちゃにしてやりたくなったが
他の奴らに見せるのも嫌で
アリアを持ち上げて自分の脚の間に座らせ
フードを被せた

アリアを他の奴らに
見せるのが勿体ない気がした。

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