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キッドに連れて行かれたのは甲板だった
久しぶりの外はやっぱり気持ちがよかった

「お前らアリアが言いたい事があるんだとよ」

甲板にいた船員達は一斉にこちらを見る

「あ、あの!本ありがとうございます!
大切にします!」

キッドに抱かれながれではあるが頭を下げる

「以上だ」

キッドの声と共にまた船内へと戻る
後ろからは雄叫びのような声が聞こえてきていた

「ちっ、馬鹿共が」

「皆怒ってた?顔見れなくて」

「別に怒ってやしねェよ。戻るぞ」

「うん」


◇◇◇◇◇


甲板にいるとキッドが
アリアを抱え連れてきた

ローブも身につけておらず
整った顔と華奢な身体が見えた

真っ白な肌には
痣やキッドが付けた痕が
見えていて痛々しくため息をついた

「あ、あの!本ありがとうございます!
大切にします!」

緊張したようにお礼をいい頭を下げる
何人かが声を出そうとするのを
キッドが睨みつけると誰も声を発しなかった
それでも皆ニヤニヤとしている

「以上だ」

ニヤニヤしてる野郎共の顔を見せまいと
アリアを連れてさっさっと
船内へと戻っていった

扉が閉まると同時に

「うぉー!やべェ!
めちゃくちゃ可愛いな!」

「わざわざお礼なんて言いに来るとか
いい子すぎんな!
頭に抱かれた女って大概高飛車だもんなー」

「俺らのこと自分の部下のように
振る舞う女もいたよな」

アリアを評価する声

「おいおい!見たかよ!
体!頭は激しいな!」

「さすが頭だな!
あんな可愛い子めちゃくちゃにしてェ!!」

下世話な話をする奴もいた

「おい」

俺が声をかければ我に返ったように
まずい!という顔をする

「今のは聞かなかった事にしてやるから
さっさっと仕事に戻れ」

「「はい!!!!キラーさん!」」

キッドが大切にしている女に
手を出すほど馬鹿な奴はいないだろう
キッドは牽制のつもりで連れてきたのだろう

誰かがいってきたように
キッドが抱いた女は
店のNo.1とかプライドが高く
着飾った女ばかりで
船に乗せるなんてことは無く
アリアみたいな着飾らない女は初めてで
たまたま船に乗せたがすぐに降ろすと思っていたのに
気に入るとは思わなかった

アリアが苦しい思いをしているのなら
助けない方がよかったのか
意味の無い自問自答をして答えがでるはずもなく

ふぅーと息を吐き空を見上げた

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