笑えば花のように
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勢いよくあたしを抱きかかえて
走るエースに落ちないようにしがみつく

「エース!どうしたの?
お昼ご飯いいの?!」

「昼飯分は夜食う!」


どういうこと?と聞く前に
サッチに呼び止められる

「おーい!エース!」

「後で寄る!」

走るのを止めずに
サッチさんのの前を通り過ぎようとした時に
身体がフワッと浮いたと思ったら
エースの腕の中からサッチさんの腕の中へ

「おい!何すんだよ!」

「親父がアリア探してんだ
アリアの世界の話が聞きてェらしい」

不満げなエースも親父様の名前を
出されたら何も言えないらしく
大人しくなった

「オレが連れてく」

「お前に渡したら連れ去りそうだからだーめ」

くるっとエースの部屋の方向から
親父様の部屋へとサッチさんに抱えられて向かう

「アリアちゃんオレのことは
サッチって読んでくれ!」

「は、はい!」

「何?緊張してんの?可愛いねー
今日は化粧してんのか
それにしてもいい匂いだな」

ニヤニヤとするサッチさん
顎髭が当たるほどの距離で
少しこしょばい

元の世界ではあんなに
人と触れ合うのが嫌だったのに
今はそんな事はないのは
悪意を感じないからだろうか

「おい!近ェよ!」

「サッチ、くすぐったい」

「やべェ!名前呼ばれただけでやべェ!」

「この野郎!何がだよ!離れろ!」

ギャーギャーとサッチとエースが
騒ぐのを見ていると可笑しくなり
クスクスと笑ってしまう

「笑っても可愛い!」

「うるせェ!サッチは喋んな!
アリアも笑わなくていい!」

騒いでいるうちにいつの間にかついた
親父様の部屋の前でゆっくり降ろされる

「親父ー連れてきたぜー」

ゆっくりと開く扉
朝に来たばかりなのに
まだ緊張する

「おぉ。アリアこっちこい」

「はい」

親父様に言われるままに
近づけばそっと膝の上に座らされる

大きな膝は本当に同じ人間なのかと思うほどだ

チラリとエースとサッチを見れば
エースは少し不貞腐れながら椅子にすわり
サッチはナース達と楽しげに喋っていた

ゆっくりと乗せられる大きな手

「お前の世界の話を聞かしてくれ
オレァお前にこの世界の話してやる」

「はい!」

親父様の膝の上は安心と温もりで
心がポカポカとしてきた

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