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2度目の目覚め
さっきよりはスッキリと目が覚める
珈琲のいい匂いが鼻を掠める
ベッドにいないキッドはソファーで
珈琲を飲んでるらしい

さっきは気が付かなかったが
身体が綺麗になっていた

「おはよう、ございます。
お風呂入れてくれたの?」

「あぁ。」

チラリとコチラを見てすぐに
新聞に視線を戻す

「ありがとう」

ソファーの端にちょこんと座ると
キッドが無言で食事が乗ったお皿を
目の前に寄越す

食べろということだろう

「いただきます」と手を合わせ
食事を口に運ぶ

口の中の傷に少ししみて痛むが
気にするほどでもなくそのまま食べ終わる

「ごちそうさまでした」

次に目の前に出されたのは
数冊の本

「これは・・・?」

「船員からだ」

1冊手に取る
表紙には剣を持った男の子と
ドラゴンが描かれていた

少し読んでみると
これは冒険の話らしい

「面白そう!ありがとう!
後でお礼・・・」

ここまで口に出して
しまったと思った
他の人に会いたいなんて言えば
キッドが怒りだすかもしれない

目の前に迫る手にギュッと目を瞑ると
痛みではなく頭に重み

「服を取ってきてやる」

乗せられた手の重みはすぐになくなり
キッドは部屋から出ていく

『服を取ってきてやる』

これはお礼を言いに行くのを
許すということなのか

しばらくすると
服を持ってきたキッド
無言で手渡された服を着る

それはノースリーブのワンピースで
キッドがつけた傷や鬱血が見えてしまう

「これでいいの?」

「あァお前が誰のものか見せつけとかねェとな。
お礼以外のこと話すなよ」

「わかった、ん」

ソファーに座るキッドに引っ張られ
そのままソファーに押し倒され
唇が重なり珈琲の苦味が口の中に広がる

そのまま下へと降りていく口づけ

「ん、」

首の何箇所かにチクっと
痛みが走る

「これでいい」

鏡を見なくても
首には鬱血した痕があるのがわかる

「行くぞ」

靴を出してこようとしたが
今回はまたキッドの腕の中らしい
抱き上げられたまま部屋を出ていく


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