それは病のように
::


ハァっハァっ

久しぶりに走ると
すぐに息切れし
壁にもたれかかる

そして持っているはずの
首輪と鍵を落としてきてしまった事に気がつく

はぁーと深い溜息をつくと

「大丈夫か?」

大丈夫ですと振り返ると
着物を着崩した人が立っていた
初めて親父様と会った時に部屋にいた人だ

「息切れしてるじゃねェか
部屋がすぐそこだ茶でも飲んでいくか?」

女物の着物を着て
髪を結って化粧をしている
この人は女の人なの?

頭にハテナを浮かべたまま
手を引かれるままに歩く

歩いて数10歩で部屋についたらしい

部屋に入ると少し懐かしい匂い

「畳?」

「お、知ってるのか。
珍しいね」

「その着物もあたしがいた国の
伝統の物と似てます。」

「これはワノ国の物だ」

「ワノ国・・・あたしの国と
少し似てるのかもしれないですね」

「ワノ国の者は黒髪が主流だが
お前は違うのか?」

「あたしは異国の血が少し入っていて
それが色濃く出てしまっているんです。
親や兄は黒髪でした」

そう自分以外の家族達は皆黒髪で
あたしだけが違った
家族と違うそれだけで絶望的な思い
そのことを思い出し目を伏せる



「・・・そうか
何か悪い事を聞いちまったか?
悪かったな」

「いえ!そんな事ないです。
自己紹介させて下さい。
アリアです。年は17です。
よろしくお願いします!」

頭を下げると
顎を持って優しく掬いあげられる

「クク、お前の事はこの船の皆が知ってるさ。
俺はイゾウだ。16番隊隊長をしている。
よろしくな」

「男の人・・・?」

息がかからりそうな程近い

「俺はれっきとした男だ」

こんなに綺麗な男の人がいるなんて知らなかった

「綺麗な方ですね」

「それは男には褒め言葉にならねェよ」

「あ・・・すみません!」

男の人だと思うと
急に恥ずかしくなり
後ろに1歩下がる

「クク、可愛い反応だな。
そいやー・・・
お前化粧はしねェのか?」

「お化粧・・・?したこないですね」

その言葉にイゾウさんは
悪戯をするような顔で笑った





アリアと食堂で別れたはいいが
ちゃんと部屋に帰れてるのか
2番隊の訓練で甲板に来ているが
なかなか集中できない

「エースは本当に
アリアちゃんが好きだな!」

「うるっせェ!」

仲間からからかわれてもどうでもよかった

「アリアにあいてー」

その時甲板の空気が変わ
皆がザワザワとして
口笛を吹いたりして奴もい4

アリアだ
何故か横にはイゾウがいた

「食堂にいなかった奴もいるんだ
自己紹介してやれよ」

アリアを見ると
胸がジワジワと熱くなっていく
いつも可愛いアリアが
今は一段と華やかさが増した
あーくそ、イゾウの奴余計なことをしやがる

「に、2番隊に入りましたアリアです!
この船に置いてもらえる事になり
働かせてもらえる事になりました!
未熟者ですがよろしくお願いします!」

そう言って頭を下げるアリア
ふわふわな髪が揺れ
そこに白い花が立っているようだった


周りからは拍手と野次

「エース!」

緊張で強ばっていた顔が
オレを見て笑顔になり手を振っている
それだけでオレの機嫌はよくなった

アリアの元へ走り出し
勢いよく抱き上げる


「わっあ!」

「なんか一段と可愛いな」

「あ、りがと
イゾウさんが髪をといてくれたの
あとお化粧も!初めてしたよ!」

もうこれ以上目立たないでくれと
内心思いながらもやっぱり可愛い
オレにだけ懐いてくれてるとこも可愛い

「エース・・・アリアは女の子なんだから
ブラシぐらい貸してやれよ」

アリアを抱き上げながら見ていると
横から大きな溜息が聞こえてきた

「ブラシ?んなもん持ってねーよ」

「だろーと思った。ほらよ」

イゾウから袋を受けとると
中にはブラシとなんかゴチャゴチャと入っていた

「え!こんなにいいんですか?!」

オレには分からねェが女にはいるもんらしい

「次の島までは足りるだろ
島についたらそれ以外のもの
買いに行くの付き合うぞ」

「ありがとうございます!」

降りてお礼を言おうとしたいるアリアを
がっちりと抑え離さないようにすした

「な、オレ抜きで進めんじゃねェよ!
オレも行くからな!!!」

「クク、わかってるって」

オレ達のやり取りを見ていた野郎共が
「オレ達にもアリアちゃん貸してくれよ!」
と口々に言う

「うるっせェお前ら!!!
アリアに触ったらぶん殴るぞ!!!」

「もぅ、エースってば・・・過保護すぎ」

顔を赤くするアリアすら可愛いと
思ってしまうオレはもう病気だと思う

prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -