長男と少女
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記憶を頼りになんとか
1人でたどり着けた地下牢

自分がいたであろう牢屋に入り
鍵を探すが見ると見当たらない

少し焦りながらも
どうすることもできず
どうしようかと考えていると
人が入ってくる気配がして
牢屋の入口を見るとマルコさんが
壁に寄りかかるように立っていた

「お前が探してんのはこれだろい」

その右手にはチェーンに
通した鍵がぶら下がっている

「あ、そうです!」

ありがとうございます!と
その鍵に触れようとしたが
手の届かない高さに上げられてしまう

「・・・なんですか?」

「お前に聞きてェことがあるよい」

「あたしに答えれるなら何でも・・・
あたしも聞きたいんですけど
この世界には本当に
αとかいないんですか?」

「・・・いないよい」

「そう、ですか・・・」

「ただ」

「ただ?」

「悪魔の実を食った奴が
お前に反応している気がするよい」

「・・・悪魔の実?」

「その実を食うと能力が手に入るが
海に嫌われちまうんだよい」

そう言ったマルコさんの腕が
青い炎に包まれ羽のように変わる
あたしが知ってる火は熱くて赤いものなのに
目の前にある炎は青くて落ちつく

「・・・綺麗」

ほぅーと溜息をつきたくなるほど綺麗な炎が
パッと消え腕に戻ってしまいハッと我に返る

「もっと驚くと思ったよい」

「あ、すみません!吃驚してるんです!
つい見入ってしまいました・・・」

「変な奴だねい」

「すみません・・・」

「オレの質問だ。
お前のヒートを抑える方法ってのはなんだよい?」

「抑えるには薬ですけどこの世界にはないです」

「じゃあ、エースと何してんだよい」

「それは・・・」

身体を重ねてるなんて発言は迂闊にはできない
なかなか答えないあたしに
イライラした声を上げる

「答えろよい!」

その怒鳴り声にビクっと体が反応する

「それは言えないです!
でも悪い事はしてないです」

「エースと付き合ってんのかよい?」

「付き合ってないです!
エースは優しいから
あたしを助けてくれてるだけで……」

「・・・そうかい。意地悪して悪かったねい」

鍵を渡される

「ありがとうございます」

そのまま鍵をさし首輪を外す

いくら軽いとはいえ外すと
開放感がやっぱり違う

その様子に驚いた顔をするマルコさんに
こてんと首を傾げる

「どうしました?」

「首輪とっちまっていいのかよい?」

「大丈夫です。ヒートの時に
αと番にならないようにするためなので
普段は問題ないんです」

「ヒートの時に噛まれたら
番ってのになっちまうのかよい?」

「違います。ヒートの状態でセックスしてる時に
噛む事が番になる条件なんです・・・
ヒートは発情期ですから
その時のΩは発情以外考えれないんです。
・・・あ」

「つまりはエースとヤってたってことかよい。
どうりでエースがお前にベタついてたわけだねい」

「・・・知りません!わかりません!
失礼します!!!」

誘導尋問というか素直に答えてしまった
あたしが悪い
マルコさんの顔を見れずに
地下牢から走り出す

後でエースに謝らないと・・・


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