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もらった本と食事を持ち
部屋に戻ってみると
アリアはまだベッドの上にいた

「おい」

腕引っ張り上げると目を少し開ける

「ん、キッド・・・?おかえり」

ふにゃりと笑う
本を与えた時のような笑顔だった

「・・・あ?」

怯えて泣くかと思っていたのに
全く違う反応に少し困惑する
よく見ると身体が赤く目もとろんとしていた
枕元に転がっている酒瓶

水と間違えて飲んだらしい

「チッ」

小さく舌打ちをすると
アリアが立ち上がり眉間の皺を指で擦る

「シワの跡ついちゃうよ?」

「・・・うるせェ」

手を払い除けると
その拍子にベッドへ転けた

「うふふ」

何が可笑しいのか笑うアリア

「何が可笑しい」

「わかんない。ふふ!」

「食え」
酔っ払ったアリアは
ガキに戻ったみたいだった
持ってきた本は明日にでも渡そうと
食事だけ渡す

「ここで食べていーの?」

「今日だけな」

美味しそうに食べているアリアを
ベッドに座り見ていると

「はい」

「なんだよ」

「ずっと見てるから・・あーん」

いらねェと言う前に
口の中にパンを突っ込まれる

「おいし?」

「・・・あァ」

食べおわった皿をテーブルに置く

「風呂に入れてやるから来い」

先に浴室へと向かうがアリアが
後ろから来る気配がなく
振り返るとまだベッドで
ゴロゴロとしていた

「何してやがる。早くしろ」

「抱っこ」

シラフなら絶対の言わねェ台詞を吐く
無言のまま抱きかかえると
笑顔で頭をヨシヨシと撫でられる

「ふふ、ありがと!」

「・・・うぜェ」

浴室に放り込み
シャワーをかけ
適当に頭、体を洗ってやると
気持ち良さそうにしていた

身体に残る痛々しい痕
首にも腕にもいたるところにある痣

「痛ェか?」

腕にある痣に触れると
少し眉間に皺を寄せた

「ん、触られると少しだけ」

自分がつけた痕がこの小さな体に残っていると
自分のものだと思える優越感
相当やばいものだと分かるがやめるつもりはない
俺の機嫌を損ねるコイツが悪い

「上がるぞ」

「はーい」

タオルで乱暴に拭くと
痛そうにするが文句は言わなかった

「あとはテメェでやれ」

タオルを渡しソファーに座り
新聞を読んでいると
タオルを巻いたアリアが
俺の膝に頭をおく

「なんの真似だ」

「んー眠たい」

「ベッドに行け」

「や!ここがいーの!」

がっちりと腰に抱きつき離さないアリアを
無視し新聞を読んでいると
スースーと寝息が聞こえる

見てみると案の定気持ち良さそうに眠っていた

そのまま新聞を机に置き
アリアを抱き上げベッドで一緒に眠った



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