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もらった靴を脱ぎベッドの近くに置いておいた
広いソファーの端っこで座りながら本を読む

何度も読み返した王子様とお姫様の物語
それを読んでもモヤモヤした気持ちの
正体なんてわからないし消えてくれない

ずっと酷い扱いをしてくれていたら
こんなに胸が痛くなることはないのかもしれない

酷いのに、たまに優しい。
今日は靴をくれた。
キッドの考えていることなんて
全くわからない。

いくら考えても答えなんか
出てこない考え事をやめ
本を閉じる

『ウォーターセブン』

聞いた事がある島の名前を思い出す
たしか船大工が沢山いる島だったはずだ。
これもまたドフラミンゴが教えてくれた気がする。
きっとこの船も何かしら修理をするのだろう。

「どこにおでかけ出来たらいいなー」

誰も答えてくれるはずはないけれど口に出してみる

トントンとノックとともにドアが開く

「アリア。飯だ」

手にお盆を持ってキラーが入ってくる
駆け寄りお盆を受け取りテーブルに置く

「キラーがいつも運んでくれるのね。
自分で取りにいくのに!」

「そんな事キッドが許さないだろうな」

苦笑混じりで答えるキラー
いつも仮面を被っていて
表情が見えないが言葉で
優しい人なのだろうとわかる

「ねぇ。キラー次はW7って
聞いたんだけど・・・
あたしも船から出れる?」



「船を造船所に預けなければ行けないから
この船に乗っておくこともできないしな」

「・・・じゃあ出られるってこと?」

「そうなるな」

その言葉に胸がワクワクとする

「水の都W7!
楽しみ!ブルって乗り物にも乗ってみたいの!」

「知っているのか?」

「聞いたことがあるだけだけど・・・
あ、ちょっと待って

見て!この靴キッドが今日くれたの。
これ履いておでかけしたいなー」

ベッドの所に置いていた靴を履き
クルクルと回ってみせる

「とっても歩きやすいし可愛いの」

「そうか・・・
大事にしてやってくれ」

「ふふ、うん!もちろん!」

靴を脱ぎ今度はベッドの下に隠すように置いた

「履いておかないのか?」

「普段は服着てないし
靴だけ履いてたら可笑しいでしょ?」

「・・・そうか」

キラーが近寄ってきて
ポンと頭に手をのせた

「キラーってお兄さんって感じ・・・」

撫でられるのが気持ちよくて
ふにゃりと笑う

「そうか・・・キッドは、」

「おい、何してやがる」

低い声
この部屋の主が帰ってきた

「遅せェと思ったら・・・
キラーさっさっ仕事に戻れ」


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