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早くしろと言われ
まだふらつく足で立ち上がり
急いで頭も体も洗う

先に上がったキッドの後を追い
脱衣場に行くとキッドが
タオルを持って立っていた

「遅せェ」

「ご、めんなさい・・・」

タオルを受け取りそそくさと拭き
ワンピースを着て靴を履く

髪の毛に残った滴はタオルで
一生懸命拭くが長い髪の毛は
なかなか乾いてくれない

チッと舌打ちが聞こえ
そのまま荷物を担ぐように
肩へと担がれた

「キッド、歩ける」

「うるせェ。さっさっと髪の毛拭いとけ」

髪の毛をタオルで
水分を拭き取るようにしながら
髪の毛を拭いてると
止まったのはいつもの部屋

「散歩はおしまい・・・?」

「キラーから呼び出されたからな
いい子にしてたらまた連れてってやるよ」

「わかった・・・」

「じゃあな」

ドアが閉まる直前に
口から勝手に言葉が出る

「大浴場見せてくれてありがと!
広くて綺麗だった!」

「ふん、たりめーだ。
俺の船だぞ。」

と笑ったように見えた。


情事が終われば今日のように
冷たくされる事もある
本当にモノのように
扱われてるのがわかる
まだ耳たぶが痛い。

何故か心も痛むのだ。






バンっと操縦室のドアを乱暴に開ける

「キラーなんだ」

「アリアは連れてこなかったのか?」

「こねェよ」

ドカっと専用のソファーに腰掛ける

「わざわざクルーに掃除させた
風呂場はアリアは気に入ったか?」

「さァな。さっさっと本題に入れよ」

「次のW7での
船のメンテナンスについてだが・・・」

キラーの話を聞きながら
アリアの事を考える

『ありがとう』

海賊をやっていれば
言われることなんてほとんどない

アリアの言葉一つ一つに
反応してしまう自分に驚く
自分はアリアを傷つけるのに
他人がアリアを傷つけるのは許せないのだ

「・・・W7なら
裏町以外ならアリアを
連れて歩いても大丈夫だろ」

「・・・あァ。そうだな。」

机に足を投げ出す

「少し寝る。もう少ししたら
アリアに食事でも運んでやれ」

「わかった」

その矛盾に苛立ちながら目を瞑った



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