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マルコがどこにいるかもわからないけど
屋根から屋根へと飛び移り
街の中を走り回る

「アリアっっ」

下から聞こえた声に振り返ると
カノンだった
会いたくない相手
手に汗が滲む

「アリアっ」

もう1度名前を呼ばれ
飛び降りカノンの前に立つ

「会えてよかった!探してたの!」

「どうしたの・・・?」

「あたしマルコに振られちゃった。
アリアが好きだって...」

カノンをよく見ると目が赤くなっている
きっと泣いていたんだろう

「う、ん...」

「アリアもマルコが好きなんでしょ?」

その言葉に心臓が大きく跳ねる

「う、ん。ごめん...」

あたしのギュッと拳を握る手に
カノンの手が優しく触れた

「なんで謝るの?
あたしは叶わないの知ってたからいいの。
マルコの好きな人がアリアでよかった。」

「・・・え?」

「私昔はナースをしてたの。
マルコに気持ちを伝えても
はっきりと返事をしないで濁すだけ。
それが辛くて船から降りた。
もし、またどこかで会えたら
もう1度気持ちを伝えようと思ってた。」

ニコリと微笑むカノン

「またはぐらかされると思ってたけど・・・
今度はちゃんと振ってもらえた。
やっと諦めがついたの。
マルコ変わったわ。アリアのおかげね!
ありがとう。」

カノンの小さな手を
今度はあたしが包み
カノンの目を見て言う

「カノン。
あたしマルコが好き。」

「うん。私今日ここを出るの。
それが聞けてよかった!
マルコは海岸の方にいると思う!
行って!」

ありがとう!とお礼を言って
海岸を目指す


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