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「おいおい。そんなに泣くなよ」

一つのベットに入り
後ろから抱きしめてくれるのはイゾウ

ぼうっとするあたしの手を引っ張り
このまま船に帰れないだろと
宿をとってくれた

部屋に入ると何故だか
涙が溢れてきた

「目が腫れちまうぞ」

抱きしめ首すじに
何度もキスをして
安心させてくれる

「もう泣いてない」

「じゃあこっち向け」

言われた通りにイゾウの方へ向くと
瞼にキスをされた

「何で泣いたんだ?」

「んー」

泣いた理由なんか
自分にもわからない
覚悟を決めたのに
なんだか踏みにじられた
そんな気持ちになったのかもしれない

「その涙が俺のためなら
むちゃくちゃにしてやるのに」

頭をぐしゃぐしゃと撫で回される

「あたしもイゾウが
好きならよかったのに。
なんでマルコなんだろ・・・」

自分の言葉にハッとする


「マルコが好きなのか」

イゾウの大きな手があたしの
頬を包み込み目を合わせる

「・・・好き、なんだと思う」

「やっと気がついたのか。
馬鹿な奴」

少し悲しそうに笑うイゾウ

「お前を初めて抱いてた時に
何度も俺の事をマルコって呼んでた」

「あたし、ごめん・・・」

「謝んな。
そのまま自分の気持ちに気付かなきゃ
言いくるめて俺のモンにしようと思ってた」

そっとイゾウの親指が唇をなぞる

「この唇も全部俺のモンになりゃよかったのに」

「イゾウ、ごめ「謝んなって言ってんだろ」
・・・ありがとう。
気づかしてくれて。」

ギュッと抱きしめれば
抱きしめ返してくれる
「家族として大好き」と言えば
「家族になる気になったか」と笑う
イゾウの匂いをいっぱい吸い込み起き上がった

「あたしマルコに伝えてくる」

「おう。行ってこい。
そろそろカノンとの話し合いも終わってんだろ」

「うん!」

靴を履き窓から飛び出した









窓から出て行ったアリアを見て
溜息をつき起き上がる

「あーくそ。
仲違いしたら掻っ攫ってやる」

なんて呟く
背中を押したものの
まだ諦めれる気なんてしない

頭をガシガシとかいて
アリアが出て行った方を見た

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