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屋根の上で寝そべっていると
いつの間にか夜になっていた

「アリアこんなとこで何してんだ?」

頭の上から声がした

見るとイゾウがあたしを見下ろしていた

あぁイゾウか...と少しマルコかな、なんて
期待してしまった自分に気がつく

「別に...」

「何あからさまにがっかりしてんだよ?
マルコかと思ったのか?」

「ふん、別にそんなこと思ってない」

「くく、顔はがっかりしてたぜ?」

腕を引っ張られ起こされる
隣にイゾウが座る

「...カノンって子知ってる?」

横で煙草に火をつけたイゾウに尋ねる
イゾウは部屋では煙管なのに
街に出ると煙草に変わる
理由は外では煙草の方が楽だからと言っていた

「カノン?誰だそれ?」

「マルコの...」

「あァ!いたなァ・・・マルコの昔の...
まぁ知り合いだな。
そいつがどうしたんだ?」

「この街にいるの。
今頃2人で過ごしてるんじゃない」

イゾウが驚いたように目を開く

「カノンが?あの女もやるねェ」

「・・・うん」

「で?」

「え?」

「だから不貞腐れてこんなとこに
いんのか?」

イゾウに図星をつかれ
ドキッとした。

「別にっそんなんじゃっ」

イゾウが煙草を消し
あたしに手を伸ばす

煙草の匂いとイゾウの匂いがする
腕の中に閉じ込められる

「なァ・・・そろそろ
俺にしとけよ」

優しいこの温もりに甘えてしまえれば
楽なのだろうか。

目をつぶりイゾウの背中に手を回す

「あったかい...」

「お前が望むなら
いつでも一緒にいてやる。
俺なら他の女なんざ出てこねェ」

何も言わず抱きついたままでいると
突然イゾウがクツクツと笑いだした

「どうしたの?」

訝しげに見ると
愉しそうに空を指さす

指した方向を見ると
青い炎を纏った鳥が
こちらに飛んできていた





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