何年ぶりかの
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「なぁ、しんどくねェか?
抱っこしてやろうか?」

後ろから話しかけられる
答えようか迷っていると
前から怒鳴り声

「エース!余計な事言わねェで
黙って歩けよい!」

地下の方にいたのか
階段を上がり長い廊下を歩いていると
何人もの男達とすれ違う。
ここには男しかいないのだろうか。
それにしても皆人相があまり良くない。

皆が振り返り立ち止まる。
ヒューと口笛を吹く人もいれば
ニヤニヤとしている人もいた。

「親父連れてきたよい」

大きな扉が開かれる
中に入ると
10名ほどの男達がおり
奥には座っていても
大きいと思うほどの男性がいた。
その横に付き添うように
ナースのような格好をした女の人達。

女性もいるのかと
少し胸をなで下ろす

手錠の紐と腰の紐を外され
前に進むように指示をされる

大きな男の人の前に行く
近づくとやはり人間離れしている大きさだった

「オレァこの船の
船長エドワード・ニューゲートだ。
世間じゃ白ひげと言われている。
小娘名前は?」

「・・・アリアです」

「アリアか。急に船に現れたって
聞いたがどこの海の出身だ?」

「海・・・ですか?
海で言うなら日本海です」

「ニホンカイ?そんな海なんざ
聞いたことがねェなァ」

誰か知ってるか?と聞けば
口々に知らないと声が上がる

「お前適当な事言ってんじゃねェよい!」

先ほどの金髪の男に
今にも殺されそうな目で見られ
身体が強ばる

「グララララ!やめとけバカ息子!
こいつァ異世界から来た人間だ。
昔1度会った事があらァ!」

その言葉に周りは静まり返る

「ここは日本じゃないんですか・・・?」


そこなら説明された話は
夢物語のようだった。
あたしがいた所では
小説の中だけしかでてこなかった海賊が
この世界にはいっぱいいるらしい。
その中でも大きな海賊団の中に
来てしまったらしい。

次にあたしの世界の説明をする

「グララララ!
男同士で結婚して子どもも出来るのか!
面白い世界だなァ!
俺が昔会った異世界人の奴とは
似ているがまた違った世界だ。」

この世界には
α、β、Ωなんて括りもなく
同性で結婚なんてないらしく
あたしの話を皆驚いていた

「お前ェはその中で言ったら
どれなんだ?」

「あたしは・・・Ωです」

こんな大勢の前で自分の
忌まわしい性を話さければいけないが
頼れる者もいない場所では仕方がない

3ヶ月に1度ヒート(発情期)が来ること。
αに項を噛まれると番になってしまうこと。
項を噛まれないように
するための首輪を付けていること。

「大変な身体だなァ!
頼れる奴がいねェなら
この船に乗りゃァいい」

その言葉にハッと顔を上げる

「いいんですか・・・?」

「あァ。とりあえず今は休め。
疲れてんだろ」

大きな手で頭撫でられた

「あ、ありがとうございます!!」

すると見ていたエースが
手をあげ主張する

「親父!オレが世話する!」

「なんだァ?末っ子が
世話なんかできんのか?」

口々に野次を飛ばすが
エースは気にする様子もなく
あたしの隣に来た

「アリア、お前いくつだ?」

「16です・・・」

「オレは19だ!
親父!年が近いのは
オレだしいいだろ?!」

なぁ?!と子犬が尻尾を
振っているように見える

「グララララ!
そんなに言うならエースに任せる
ちゃんと面倒みてやれよ」

「よっしゃー!」

ズボンのポケットから
鍵を取り出し手錠を外してくれる

「あ!てめェ!いつの間に
鍵取りやがったんだい!」

「親父が船に乗せるって
言ったんだ!いいだろ!」

手錠を外され自由になった
あたしの身体を抱き上げ
走るように部屋から出ていく

「じゃ、オレ案内してくるから!」

後ろから
グララララという笑い声と
怒鳴り声が聞こえた

人肌が温かいなんて感じたのは
何年ぶりか

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